メディア掲載のカギを握る 「仕掛け・仕込み」はこう考える

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   大企業でも中堅・中小企業でも、メディアに取り上げてもらおうとすれば、「仕掛け」が重要になる。中でも、どこと組むか、誰と組むかは事業の成否を左右すると同時に、ニュースバリューを引き上げる要素ともなる。

   今回は「仕掛け」に成功し、メディア掲載につなげている中小企業を紹介したい。

スポーツチームに「オフィシャル」を提供

   「オーダースーツSADA」を全国で24店舗展開している佐田(東京都千代田区)は、Jリーグ10チーム、プロ野球のロッテ、ヤクルト、なでしこリーグのINAC神戸、NBLリーグの千葉ジェッツのオフィシャル・スーツサプライヤーとなっている。スポーツ選手の体型は肩幅、胸囲や太ももが発達し、既製服ではぴったりのスーツが見つからないケースが多い。このため、オーダースーツの提供はスポーツチームから歓迎されている。見返りも多い。オーダースーツの提供が決まると、各チームの広報がスポーツ新聞などに話題を提供してくれる。オフィシャルスーツを着用した有名選手の写真をホームページで紹介したり、営業用のポスターに利用したりできる。オフィシャルスーツは一般向けに販売しているので、売り上げ増につながる。オーダースーツの認知度向上にもつながる。2013年9月には、INAC神戸の川澄奈穂美選手(当時)プロデュースのメンズオーダースーツとネクタイを売り出すなど、女性目線でスーツの開発を行ったりもした。

   これらの取り組み、たとえば川澄選手の件は当時、スポーツ新聞のほか、日刊工業新聞、日経MJ(流通新聞)が掲載した。ただ、これだけオフィシャルスーツ提供チームが増えると、新たなチームに提供しても広報の側面からは新鮮味が薄れてしまう。このため、同社ではオーダースーツの魅力そのものを訴求する仕掛けを検討中だ。

パートナー選びで打った「仕掛け」

   一方、A・M・S(東京都千代田区)は、日本の医薬品や医療施設をミャンマーに輸出するに当たり、パートナー選びで仕掛けを打った。ミャンマーの有力企業であるZMHユニバーサルトレーディング(ヤンゴン市)と折半出資の合弁会社「ZMHヘルスケア」を現地に設立、このほど業務を始めた。このZMHユニバーサルトレーディングは和光堂の粉ミルク・ベビー用品、大王製紙の紙おむつ、伊藤園のお茶などを輸入販売しており、日本側は三五九グループ国際ジャパン(東京都新宿区)が受け持っている。三五九グループ国際ジャパンのマウン・バニャーゾー社長と、ZMHユニバーサルトレーディングのティンリンゾー社長は兄弟であることから、このミャンマー人の兄弟と信頼関係を構築し、合弁会社設立に至ったわけだ。

   ミャンマーの医薬品市場には未承認薬、偽医薬品が数多く出回り、日本の医薬品は一部メーカーの製品が他のアジア拠点経由で販売されているものの、まだこれからの段階。健診センターについても、日本の医療機関は進出していないという。合弁会社は、日本の医薬品の現地における承認・申請・販売業務や、日本人医師の支援によるクリニック・病院の運営、健診センター設立などを行うが、信頼できるパートナーがいなければ事業そのものが進まない。合弁会社に早くも製薬会社4社から引き合いが寄せられ、日本の医療機関が現地視察を進めているのは、パートナー選定に成功したことが大きい。

   パートナー選定の仕掛けと、ミャンマーのヘルスケア産業への貢献が認められて、合弁会社設立の記事は日経産業新聞(14年5月9日)が掲載した。メディアから見て中小企業は、大企業ほどの信頼性がないだけに、ニュースリリースの裏付けとなる人脈・データや話題性が求められる。そのための仕掛け、仕込みがメディア掲載のカギを握る。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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