2018年 8月 21日 (火)

「2種類のブラック企業」、わけて考えよう

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   ブラック企業のはなしは何度も取り上げているが、まだどうしても伝わってないことがあるので、改めて書きたい。

   ブラックといっても、2種類のブラックがあって、混在して議論されているため、噛み合っていないのが現状だ。

将来のためにといって、なんとなく空気で残業を強いる

一口に残業といっても…
一口に残業といっても…

   ひとつは、単純労働や、店舗などの運営などのサービス業で、労働集約的なサービスに従事しているタイプのブラック。

   これは、本来は、労働時間に比例して賃金を払うようなタイプなので、本質は時給制。正社員という身分であっても、残業すれば残業代を支払うのは当たり前だ。出世の見込みも賃金の上昇の見込みも示さずに、将来のためにといって、なんとなく空気で残業を強いる。

   もう一つは、幹部候補スタッフや、コンサルタントや、ベンチャー、金融ほか、アップサイドを狙って入社し、一刻も早く出世してお金も稼ぎたいというタイプの人。時間ではなく、成果で賃金を支払うべきタイプの人だ。

   後者のような仕事を選ぶ人は、それなりに納得して、あえてそういう仕事についている。こういう人にとっては、むしろ残業できないことがブラックになりうる。

   残業を制限されてしまえば、それだけ仕事できなくなるし、毎日深夜まで残業している人に比べたら得られる知識や経験が少なくなるから、どんどんキャリアが遅れてしまう。

   もしこういう会社に強烈な労働監視がかかって、一日8時間しか働かせてくれない環境になった場合、働けないとことがブラックになってしまい、人材はさっさと他社に転職してしまうだろう。

どちらにとってもブラックに

   この、前者と後者のタイプの職種と人をまぜて、単純に労働時間でブラックと論じていることが多いのが現状だ。

   しかし、本当の問題は、終身雇用大企業だと、これが意図的にあいまいになっているということだ。たしかに新卒の入社は全員幹部候補として入社する総合職なわけだ。若い社員には出世目指してバリバリしたいひともいるし、最初っから寄生するつもりのひともいる。これをすべて、同じ制度と処遇でやらざるを得ないのが、現在の問題点で、一律に残業するとか、一律に残業しないとかやっている。これでは、さきほど説明した2つのタイプのひと、どちらにとってもブラックになってしまいかねない。

   すくなくとも、ブラック解消に向けた議論の最初は、終身雇用にちかいが、単純労働で、賃金は上昇せず、「時給」ではかられる社員と、解雇の対象となり、残業代も支給されないが、出世の対象になる社員を明確に分けて採用し、目に見えるラベルをつけることだ。そういうのは日本では冷酷なので、わざと曖昧にしているのかもしれないが、そういう曖昧さからブラックが生まれているということは疑いようもない。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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