2019年 10月 17日 (木)

有川浩『空飛ぶ広報室』から学ぶ広報戦略

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   『図書館戦争』(角川文庫)、『阪急電車』(幻冬舎文庫)、『三匹のおっさん』(文春文庫)、『県庁おもてなし課』(角川文庫)などで知られる有川浩が、航空自衛隊の広報室を舞台に2012年7月に刊行したのが『空飛ぶ広報室』(幻冬舎)だ。

   2013年の直木賞候補作となり、TBSでテレビドラマ化された同作品には、広報関係者にとって示唆に富む場面が多数描かれている。ご紹介したい。

大手企業の広報担当部署が弾くソロバン勘定

――「今日の協力映像は帝都テレビの月9で最低三分流れます! これは広告費に換算すればおよそ二億の効果がある! 諸君はこの一週間で、航空自衛隊に対して二億の利益をもたらしたことになります! これは大いに誇っていただきたい!」――

   鷺坂広報室長のこの言葉。ミーハーで詐欺師と呼ばれている彼の面目躍如ではなく、大手企業の広報担当部署では普通に弾かれているソロバン勘定だ。大手全国紙やキーテレビ局の広告宣伝費は、1000万円を軽く超える。新聞で言えば、全面広告を1回出すだけで1500万円前後がかかってしまう。一方、広報セクションは、社会性やヨソにない特徴をリリースにまとめて取材・掲載してもらうので、お金がかからない。しかも、記事はニュースバリューを認めてもらった結果なので、広告より価値が高いに決まっている。そこで、同じスペース、同じ時間の広告費と比べて例えば2倍で計算し、広告費換算の効果という社内アピールをするわけだ。

   この理屈が中小企業では、なかなか理解されにくい。多くの中小企業で広報担当者を置いていないのは広報の役割に対する認識が不足し、収益部門ではないととらえる風潮があるからだ。とくに広告を活用していない中小企業では、情報発信にはコストがかかるという当たり前のことが分からず、記事を無料の広告と思っている企業すら存在する。記事になるということはニュース価値を認めてもらうことで、業績や従業員の士気に直結する。採用にも好影響を与える。広報がもたらす収益効果をもっと理解してほしい。

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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