採用担当者を襲う「学生の無理難題」 「我慢比べ」壮絶バトルを「実況中継」

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   シューカツの現場でよく表れる「戦い」の場面。最新情勢を踏まえ、どんな戦いが繰り広げられているのか、を「実況中継」風にお伝えします。今回のテーマは「我慢比べ」。なお、当コラムに登場する企業名等は架空のものです。内容等も架空のものです(たぶん)。


予選は「エントリーシート1000枚読破」

「全部読んでおいてネ」「......」
「全部読んでおいてネ」「......」

   実況:みなさん、こんにちは。始まりました、伝説の低俗バラエティ番組、「ザ・我慢2014」が帰ってきました。実況は慈英和人、解説はジャーナリストのアスベスト礼二さんでお送りします。

   解説:こんにちは。1980年代の懐かし低俗番組が戻ってくるとは思いませんでした。いまどき炎上必至ですけどねえ。

   実況:まあまあ。さて、今日の第一試合。参加者10人は全員、採用担当者ということですが一体、どんな我慢比べなんでしょうか?

   解説:はい、この試合は学生の無理難題にいかに耐えるかがポイントです。

第一関門は「面接間違い探し」

   実況:それではさっそく試合開始です。第一関門は「面接間違い探し」。学生1人につき2分の自己PRを30人分、聞いてもらい、その中から当たりの学生を探してもらうものです。

   解説:学生の自己PRは「○○アルバイトを経験」「人と接する仕事がしたい」「コミュニケーション能力には自信がある」の3つのポイントは全部同じ、細かい部分がちょっと違う程度です。


   実況:「○○アルバイト」は居酒屋、ファーストフード、コンビニ、家庭教師などいずれか1つ。30人が全員、ほぼ同じ自己PRをするわけです。

   解説:この間、知人の採用担当者は「偶然、牛丼屋のアルバイトをアピールする学生が4人続いてめげた」と話していました。それが30人連続、これはきついですよ。


   実況:おっと、さっそく1人、いや2人、脱落―!

   解説:そもそも、「人と接する仕事がしたい」って、どんな仕事も人と接するわけで、PRとしては最低ですね。

   実況:それでも7人残りました。次の第二関門に進みます。第二関門は「まとまりない話攻撃」。

   解説:学生がOB訪問などで質問するとき、ときどき勘違いした学生が延々とまとまりのない話をすることがあります。結論をすぐ求める社会人がいかに耐えられるかがポイントです。

自分がいかに頼られているか、延々と話しだした

   実況:さっそく始まりましたが...、予想以上に長い。まとまりがない!視聴者のみなさん、申し訳ありません。この第二関門は放送ではカットします。ここで一気に3人脱落~!

   解説:まとまりのない話は聞いていてしんどいですね。

   実況:さあ、残り4人となってしまいました。第三関門は「無礼攻」。無礼講ならぬ無礼攻撃、略して無礼攻。学生が無自覚のうちに採用担当者に失礼千万な話を連発します。

   解説:ちなみに私は「僕を取材すればアスベストさんも箔が付きますよ」にキレそうな...。


   実況:個人的怨恨はおくとして、第三関門、始まりました。学生の無礼な発言が続きます。「僕の名刺を渡しておきます。これ、将来、プレミアが付きますよ」「私は将来設計を考えれば中小企業には行きたくありません」「結局、サラリーマンって飲み会とカラオケとゴルフ以外の楽しみって何かあるんですか?」「私を成長させてくれる企業でないと嫌です」

   解説:客席からものすごいブーイングです。予選敗退の採用担当者なのでしょうか、殺意すら感じます。


   実況:3人しか残らなかった第三関門が終わりいよいよ決勝の第四関門。試合は「土壇場で辞退」。アスベストさん、この試合はどのようなものですか?

   解説:はい、これは第一志望でぜひ入りたい、と言っていた学生が土壇場で内定辞退をします。好き勝手なことを言うわけで、それにいかに耐えられるかがポイントです。


   実況:さっそく始まりました。あんなにも「ぜひ、御社でお世話になりたい」と言っていた学生が次々と裏切っていく。これはきつい。

   解説:内定辞退をメールで済ますとか、「内定取り消しは違法ですけど内定辞退は合法ですよね」とか、これはかなりきついですよ。

どいつもこいつもウソばっか...

   実況:三ツ星重工の城之崎かおり、太陽ビールの鬼塚卓郎、ほぼ同時に脱落~。

   解説:「もっと成長させてくれる企業が見つかりました。そちらの方が給料高いし」にキレてしまいました。思ったとしても黙っていろよ、という話です。

   実況:ここで試合終了。最後まで残った転覆証券、野山一さんが優勝~。どうですか、今のお気持ちは?

   野山:かなり苦しかったですけど、優勝できてうれしいです。

   実況:野山さん、勝因はどこにあるとお考えですか?

   野山:学生の話すことは基本信じない、人間不信を前提としたことが勝因だと思います。あいつら、どいつもこいつもウソばっか言いやがって。


   実況:試合が終わった途端に愚痴が始まってしまいました。長くなるようなので、ここでひとまず終了します。第一試合の解説はアスベスト礼二さんでした。

   解説:ごきげんよう。

   野山:おい、××大の○○、見ているか。今度、夜道であったらなあ!

   実況:優勝した野山さん、ありがとうございました。それではCMに入ります。


   ――今回の「実況中継」は以上です。繰り返しますが、内容等も架空のものです(たぶん)......。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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