奨学金の「借金」700万円! 卒業後、これから始まる返済生活

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「えっ、本当にこれだけしか収入がないの?」
「嘘じゃないです。パートの母と高校生の弟の3人家族なもので。」
「そう...じゃあ、優先的に奨学金を探さなきゃ。これなんて...」

   妻の学生相談窓口での思い出だそうである。育英会の奨学金も獲得できたが、某ファミレスチェーンから返還の必要のない奨学金をもらえたとのこと。

苦学生の状況は今も昔も変わらない

返済、よろしく
返済、よろしく

   おかげさまで、「お付き合いに費用がかさむのでお嬢様のお友だちはなるべく作らない」などの工夫をしながら、何とか短大生生活を無事過ごせたらしい。唯一の息抜きが若い娘に特典の多かった「ディスコ」だったというのが時代を感じさせる。まあ、夕飯代わりにもなったし...というのが他の娘の目的とは一味違うと思うが......。

   今でも我が家ではその奨学金を支給して頂いたファミレスを優先的に利用しているので、ちょっぴりは恩返しできたかな。ちなみに、育英会の奨学金も独身OL時代に無事全額返してしまったそうである。

   一世代前の話ではあるが、苦学生の状況は今も昔も変わらない。現在の経済状況だと企業からの奨学金は期待できず、どうしても公的な奨学金に頼らざるを得ない。まあ、極めて優秀であれば特待生で学費免除になったり、返済義務のない奨学金を大学から貰えたりする。まあ、「その大学で極めて優秀」になるかは入学前からの戦略が必要かもしれないけど。

   さて、日本育英会の奨学金とその事業は、現在、日本学生支援機構に引き継がれている。学部の間は私の妻のように経済的にとても苦しい学生メインに、大学院生に関しては若干枠も広がり...というか支給対象も減るので、そこまで苦学生じゃなくても貰えるようである。まあ、優遇があるとはいえ借金だし、そこまで支給要件が厳しくはない。無利子の1種は貰えなくても有利子の2種だったら、なんとか。

執筆論文数などで審査される「返還免除規定」

   ところで育英会の頃は、1種の奨学金の返還を免除される免除職というのがあった。詳細に規定されていたが、ひらたく言うと教育職や公的機関の研究職に就いた者。民間と人材の取り合いをした時代なので、奨学金の返還免除でもしないと残るのはカスば...じゃなく、優秀な人材には特典をということだったのでしょう。形は変わったが、今でも返還免除規定はある。ただし、就いた職業ではなくいかに在学中に頑張ったか、たとえば、学会発表数とか執筆論文数とかで審査される狭き門である。まあ、正当でしょうね、指導する方は大変だけど。

「大学院修了おめでとう。これで君も給料取りだな」
「はい、ありがとうございます。でも、半年したら借金の返済がはじまります」
「...あっ、そうか。私も大学院生のとき奨学金もらったから、170万円ぐらい借金があったよ。」
「そうですか、僕は700万円ぐらい返済しないといけませんが...」
「えっ...」

   そうか、彼は両親に大学院進学を反対され、1種も2種も貰えるだけ奨学金を貰ってたっけ、学部時代も貰ってたしな。少しでも返還免除できればよかったのだが、私の指導が至らないばかりに申し訳ない。それと、正直言うと私の170万円返還免除されました......。(プロフェッサーXYZ)

プロフェッサーXYZ(えっくすわいじぃー)

国立大学を卒業し大学院修了後、助手として勤務。現在は東日本の私立大学の教授であり、フラスコを持ったリケジョの研究指導をしたり、シュレディンガー方程式に頭を悩ませる男子学生の教育を行ったりしている。受験戦争世代と言われた時代から、バブル世代、ゆとり世代、そして、ゆとりは終わった?という現代まで様々な教育・研究現場を肌で体験している。大学教育のみならず初等~高等教育の現場とかかわりを持ち、日々「良い教育は?」の答えを模索し続けている。ちなみにカクテル好きというわけではない、下戸である。また、「猫」も飼っていない。
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