TVメディアが「食いつく」企業ネタ 「活字」媒体との違いを理解し、利用する

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   優れた技術・製品を開発したり、他にないサービスを始めたりするときは、メディアに取り上げてもらうチャンスだ。ただ、中小企業の場合、メディア掲載に至るハードルは大企業に比べて高い。株式を上場している企業なら、証券取引所の適時開示があり、メディア掲載の有無にかかわらず、Web上でニュースリリースが閲覧できる。また、記者クラブでリリースを配布することもできる。

   しかし、中小企業はそうしたルートに乗らないし、そもそも中小企業の担当記者を置いているメディア自体、数少ない。では、どうしたらいいのだろうか?

「社会性」と「ヨソにない特徴」がカギ、が原則

   新聞や雑誌などのメディアに掲載されるには、「社会性」と「ヨソにない特徴」がカギになることは、このコーナーで何度か指摘した。もちろん、中小企業にもこの基準を満たす技術・製品、サービスは数多く存在する。ただし、大手新聞や経済誌に掲載されるには、ずば抜けた社会性、ものすごい特徴が必要になる。中小企業を取り上げるスペースに乏しいうえ、担当記者も存在しないので、アピールポイントが明確でなければ、なかなか振り向いてもらえない。

   そこで重視したいのは、日経産業新聞、日経MJ、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイなどの産業紙だ。中小企業を取り上げるスペースがあり、担当記者もいるので、掲載してもらいやすい。これら産業紙は、大手新聞やテレビ、経済誌などの記者がウオッチしているので、波及効果も期待できる。

   以上は一般的なケースだが、これに当てはまらないケースもある。ある設立間もない企業が東北地方に膨大な土地を取得して、サービス系の事業を始めた。社会性はある。しかし、ヨソにない特徴かと言えば最もニュースバリューが高いのは土地の広さで、同様の業種・サービスはすでに存在する。

   そこで、私は土地の広さを前面に出して、複数の大新聞にアプローチした。結果はダメだった。土地の広さだけでは、やはり取り上げてくれない。そこで私は、当該会社に対し、国や地方自治体との連携を図り、企業の安心・信頼度を増すとともに、事業そのものにヨソにない特徴を付加するように求めた。国がちょうど連携事業者を求めていたので、その資料も提供した。それが経営の王道であるし、メディア掲載も「急がば回れ」と判断した。

「絵(映像)になる」ことが重要

   ところが、その企業はそれから間もなく、東京都内のイベント会場で記者発表会を開き、東北にある施設のオープンをアピールした。問い合わせ先には、PR事務局としてPR会社の名前があったので、そのPR会社が主導したのだろう。結果は、テレビ東京のワールドビジネスサテライトが取り上げた。経費もかけたが、テレビ局が取り上げたことで、まずは成功と言えるだろう。

   このケースは、活字メディアとテレビ局とのメディア特性の差が作用している。活字メディアは、社会性とヨソにない特徴を明確に説明しなければならない。ところが、テレビは「絵(映像)になる」ことが重要で、土地の広さも売りになるわけだ。言い換えれば、テレビは必ずしもニュースバリュー第一でなくてもいい。

   中小企業広報は、このように難しい。しかし、一般的に言えば、中小企業が記者発表会を開くのは、記者が集まらない、記事にならないリスクが大きく、経費ばかりかかるので、よほどのニュースでない限りお勧めしない。メディアに掲載される企業を目指して経営を変革し、世の中に誇れる事業、製品、サービスを生み出していく。掲載してくれたメディアの記者と地道にお付き合いし、メディアにファンを広げていく。メディア掲載は、経営の手段ではなく、結果である。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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