「ありのままで」は悪魔のささやき? 「無気力でOK」本に食い物にされる人々

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   2014年のユーキャン新語・流行語大賞が決まり、トップテンにはディズニーアニメ『アナと雪の女王』から、「ありのままで」がランクインした。主題歌の「Let It Go」に、「ありのままの自分でいいんだ」と、勇気づけられた人もいるだろう。

   一方、こうした「ありのままの自分」を肯定し、「頑張らなくていい」と主張する自己啓発本などを、「無気力肯定ビジネス」と呼ぶ向きもある。結局、「ありのままで」いいの?いけないの?

「お金がなくても幸せになれる」

「ありのままで」もイロイロあるの
「ありのままで」もイロイロあるの

   漫画家の小野ほりでぃ氏によるトゥギャッチ配信記事「まるで搾取!? 『無気力肯定ビジネス』が怖すぎると話題に」(2014年11月28日)が、「話題に」なっている。ストーリー仕立てになっており、登場人物の後輩OLが、急に会社を休んだところから始まる。不審に思った先輩OLが、自宅を訪ねてみると、後輩は「もうがんばらなくていい」「くじけてもいいんだよ」「ニートの生き方」などの本を読みあさっていた。

   後輩は、こうした「努力しなくてもいい」とか「お金がなくても幸せになれる」などのメッセージを真に受け、すっかり仕事へのやる気をなくしてしまったのだ。

   そんな後輩に、先輩はズバリ、「そんなものは、戦略を持たない人々に夢を見せ、『搾取』する『無気力肯定ビジネス』にすぎない」と、一刀両断する。「あんたは(中略)、自分の信じたい都合のいい『救済』を言語化したものを見つけて現実逃避してるだけ!」というのだ。

   確かに、ある種の自己啓発本は、「努力はイヤ、労働はイヤ」といった怠け心を、「それでいいんだよ」と肯定してくれる。が、「それでいいんだよ」と主張する人たちは、一切の努力を放棄してきたわけではないだろう。むしろ、そうした主張を公にできるようになるまでに、何らかの試行錯誤や努力をしてきたはず。彼らは、分かりやすいメッセージを鵜呑みにする無数の読者よりは、おそらく「上」にいる。

   記事には、配信後1週間も経たないうちに4500件以上の「いいね!」がついており、ツイッターでも共感の声が相次いだ。「確かにこういう内容の本多いよね・・・」とか、「『世界に一つだけの花』や『ありのままの~』がバカ売れしたのも同じかもね」など、「無気力肯定ビジネス」の影響力の大きさに、思いを馳せる人もいる。

ハマりすぎるのは「ダメよ~ダメダメ!」

   一方、「無気力でいるのも、けっこう大変なのだ」という人もいる。自らを「意識低い系」と称する、三沢文也氏によるブログ、「無気力を肯定して生きていくには理解者と適職がないと難しい」(2014年11月29日)だ。彼の周りには、「軽い広告収入程度しかないニート」や「ほぼ家から出ないプログラマ」など、「意識低い系」な人が多いという。

   そんな人たちの多くは、「意識高く生きようと思ったけど、病んでしまったから生き方を変えるべく意識を下げた」経緯がある。にもかかわらず、事情を知らない人々から、真っ先に攻撃されてしまうのだ。確かに、「無気力」を否定し、がむしゃらな努力を煽るだけでは、疲れてしまう人もいるだろう。

   ツイッターでも、「人それぞれ事情とかあるだろうし、無職になる人間も人それぞれ事情がある。社畜で頑張りすぎて病んだり死んだりする人もいる。人それぞれ」との意見があった。

   結局のところ、「努力信仰」にせよ「無気力肯定ビジネス」にせよ、ハマりすぎるのは「ダメよ~ダメダメ!」ということか。(KH)

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