2024年 4月 18日 (木)

社内不倫で未婚女性は解雇 この処分、問題ありませんか?

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   春は新しい出会いの季節。まもなく新入社員も入社し、みなさんの会社の中でも様々な恋愛模様が織りなされるのではないでしょうか?しかし、中には結婚をしている先輩や上司と恋愛をし、危険な不倫関係に足を踏み入れてしまう人も出てきてしまうかもしれません。

   そこで今回は、既婚者と不倫をしてしまい、解雇処分を受けてしまった女性社員のエピソードを基に「不倫での解雇の可能性」を考えていきたいと思います。(実際の事例を一部変更しています)

恋愛と仕事は別?

不倫の代償は・・・
不倫の代償は・・・

   わたしの部署の部長は40代後半の既婚者なのですが、仕事もでき、お洒落で気遣いもできると、女性社員から人気です。同じ男性から見ても確かに部長は魅力のある人で、何より仕事が早く、的確な指示を出すところがすごいと尊敬しています。そんな部長が、社内の女性社員と不倫をしていることが発覚してしまいました。相手の女性社員は20代半ばの独身で、モデルのようなスタイルと綺麗な顔立ちから男性社員の憧れの的となっていました。そんな目立つ2人がホテルから出てくるのを見たという社員が何人も居て、人事担当者が本人達に確認したところ、2人とも事実だと認めたのです。

   会社は、不倫相手の女性社員を解雇に、部長を支社に飛ばすという処分をくだしました。確かに、不倫は社会上問題だと思いますので、何かしらの処分をくだすのは仕方がないと思います。

   ただ、なんというか、恋愛というのは仕事と関係ないプライベートなことなので、解雇というのは行き過ぎなのでは?という気もしています。部長の処遇との差も気になります。不倫が原因で解雇というのは問題ないのでしょうか。

弁護士解説 会社運営にどの程度悪影響を与えているか、による

   恋愛はプライベートなことなので、解雇は行き過ぎでは?という、ご相談者様のお気持はわかります。ただ、社内での不倫となると、他の従業員の士気に大なり小なり影響を与えてしまうものですので、非常に難しい問題です。

   会社の就業規則には、著しく会社の風紀・秩序を乱したときは懲戒処分の対象となると書かれているケースが多いと思います。しかし、社内不倫をして会社の風紀・秩序を乱したとしても、すぐに懲戒処分が有効になるとは限りません。

   既婚男性社員と女性社員が不倫関係にあり、女性社員が解雇された繁機工設備事件というものがあります。2人の交際について非難があるのでやめるように社長が説得したものの聞き入れられなかったため、女性社員が解雇されました。この事件で裁判所は、就業規則に記載されている「素行不良」に該当するが、企業の具体的な運営に影響を与えていないので解雇は無効であると判断しました。

   このように、社内不倫をしたとしても具体的に業務上の影響が出ていなければ、懲戒処分の対象とはならないのが原則です。

   一方、解雇を有効としたものとして、長野電鉄事件の控訴審があります。

   この事件は、既婚者である観光バスの運転手が未成年の女性車掌と肉体関係を持ち、妊娠させたため、運転手が解雇されたものです。裁判例は、勤務の途中で運転手と車掌が同宿するという事情や、運転手の影響力が絶大であるという事情、など職場環境の特殊性を重視して、業務の正常な運営を阻害し、会社に損害を与えたとして、解雇を有効としました。

   このように、社内不倫が会社にバレて解雇された場合に解雇が有効になるか否かは、会社の運営にどの程度悪影響を与えているかによります。今回のご相談では、社員の間で噂が広がっているレベルであり、会社の業務に具体的な支障は出てはいないようです。社内不倫のせいでなんとなく仕事がやりづらくなっている程度では、解雇をすることはできないでしょう。

   しかし、これだけに留まらず、不倫のせいで奥さんが会社に乗り込んでくるなどのトラブルがあったり、得意先にその事実がばれ、会社の評判を落としたりした場合は、解雇が認められる可能性が高まると思います。

   今回のケースに関しては、会社に対してどれ程の悪影響を与えているかによって、解雇が有効か無効かという判断になると思います。

   しかし、どちらにしても不倫という行為自体、たくさんの人に迷惑をかけてしまうものだということは十分理解し恋愛をしていかなければいけないと思いますよ。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)


   ポイントを2点にまとめると、

1:会社の就業規則には、著しく会社の風紀・秩序を乱したときは懲戒処分の対象となると書かれているケースが多いが、それらを乱したとしても、すぐに懲戒処分が有効になるとは限らない。
2:社内不倫が会社にバレて解雇された場合に解雇が有効になるか否かは、会社の運営にどの程度悪影響を与えているかによる。
岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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