2020年 7月 4日 (土)

ルーズな経費処理の元凶は社長だった オーナー企業の「良い私物化」と「悪い私物化」

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社長が自分のしていることの免罪符として・・・

   Hさんが席を外すと、社長が言いました。

   「たかだか1000円~2000円の話に、目くじらを立てることはない。中小企業の安月給サラリーマンにとっちゃ、地方出張のささやかな楽しみです。それを奪っちゃ、かわいそうってもの。彼女、仕事はできるのだが、上場企業で働いた経験からその感覚でモノを言われてかなわん。銀行出の大関さんももしかして彼女寄りの意見かもしれないが、中小企業は上場企業とは土台が違うのだよ」と、まったく取り合う気配もありませんでした。

   それどころか、「中小企業論を振りかざして僕がHくんに直接ダメを出すとヘソを曲げてやりづらくなるから、申し訳ないが元銀行員の大関さんからうまく説明して彼女を諭してくれないか」と、私に尻拭いのお鉢を回してきました。どうしたものかとも思いましたが、社内規定整備のそもそもの目的は社内活性化でもあったので、社長と社員の関係が悪くなってもいかんだろうとの考えから引き受けることにしました。

   私はHさんを応接室に呼んで、「ご提案はごもっともなのだけれども、交通費を正規料金で渡すことは法的に問題はないし、それをあえて社員を性悪説で捉え縛りつけるようなやり方をするのは、社内がギスギスしかねない。今回の目的でもある社内活性化の観点から、当面は今まで通りの現金支給とすることにしたい」と伝えました。

   するとすぐさま「社長が嫌だと言ったんですね」と彼女。私が一瞬返答に窮すると、Hさんは間髪を入れずに続けました。

「社長は自分のことを守っているのです。社長自身、出張の際に明らかに接待じゃないと分かる領収証を回してこられます。社長ですから、私は何も申し上げずに処理させてもらっていますし、もちろん誰にも言いません。でも、社長と一緒に出張した社員はきっとこの事実を知っているでしょう。社長は自分のしていることの免罪符として、あるいは自身の言い訳として、社員が旅費を一部浮かすことに目をつぶっているのです」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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