2024年 4月 16日 (火)

「仕事を任せる」の功罪 部下のレベルを見ないと逆効果

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   ある会社で中途入社の社員の離職率が高いので、離職率を下げるにはどうしたらいいかということを社員と一緒に考えることになりました。とても難しいテーマですよね。対策が分かっていたら辞めてないと思います。

   この会社は商業施設の設計に携わるので、企画、製作、設計というように各部門ではプロフェッショナルとして高いレベルの仕事が要求されます。しかし仕事は分業されているということではなく、企画部門で入社したとしても製作や設計の知識もある程度求められるので、やることが多く大変だそうです。

「辞めないようにするにはどうしたらいいか?」

レベルを見ながら・・・
レベルを見ながら・・・

   中途で入社した社員は即戦力としてすぐに仕事を任されますが、なかなか手とり足とり教えることができないので、戸惑う人は多いらしいです。

   1年未満で辞める人が多い一方で3年、5年と続いている社員がいます。

   その違いは何かということを確認してみると、自分で考えて仕事を進められたり、やることを見つけたりすることができる人は続いていて、それができない人は辞めていくということが分かりました。つまり自律している人材にとってはやりやすい環境だけれど、受身の人材にとっては厳しい環境だと言い換えられるということです。

   比較的長く働いている人が、数人に「何で会社を辞めずにこれたのか?」という質問をすると

「大変だけど、いろいろ経験することができるので、自分が成長できるから」

という答えが返ってきました。続いている人は能力が高い人が多いので、「自分達はプロの集団である」という意識も強いようです。

   能力の高い人であればいいですが、なかなかそうはいきません。そういう人は少数であり、多くは普通の人なのです。普通の人が成長して会社を辞めずに働いてくれないと、出たり入ったりの繰り返しでいつまでたっても少人数で忙しい状況が続いてしまい、社員が疲弊してしまいます。

   そこで、「辞めないようにするにはどうしたらいいか?」ということを再度考えていきました。いろいろ出てきましたが、根本的に必要なのは「やる気を出させること」ということになりました。

「任された時」に注目

   さらに、「人はどうしたらやる気が出るのか?」ということを考えていくと、

   褒められた時

   上司から信頼された時

   成果が出た時

   人から必要とされた時

   任された時

   といったことが出てきました。その中で注目したいのは、「任された時」です。

   「任せる」と「放置」は違うので、そこはしっかりと認識しておく必要はあります。

   任せても、時々進捗や様子を確認し、気にかけているかどうかで、任せると放置は異なるのだと思います。

   任されてやりがいを感じるのは、ある程度自分で仕事を進めることができる人でしょう。仕事の全体像も把握しているので、判断もできる人です。こういう人は、いちいちあれこれ指示されてやるより、自分が思ったとおりに仕事を進めていきたいのではないでしょうか。

   逆に仕事の全体像も分からず、知識や経験が不足しているような人は、任されると不安感の方が強くなるようです。何をすればいいのか分からないので、逆に指示を出された方が安心なのです。

任せたあとは辛抱が必要

   よく書籍にも、権限移譲の重要性が書かれています。部下を育てるには上司の仕事の一部を任せたり、裁量を持たしたりしていくことが大事だということが述べられています。

   確かにこれは合っているとは思いますが、部下のレベルを見て判断していかないと逆効果になります。

   それに、いったん任せると、あとは辛抱が必要です。

   傍から見て「こうすればもっと上手くいくのに」と思うことも多いと思います。

   そうなると、あれこれいちいち指図してしまう場合もあるかと思いますが、これをやってはいけません。

   人に任せるというのは「レベルの判断」「見守る」「忍耐」といった3つの点が必要になるのではないでしょうか。(野崎大輔)

野崎大輔(のざき・だいすけ)

大学卒業後に無職、離職を繰り返し社労士として独立し、企業の労使トラブルの解決に奔走する。2013 年7 月に自律型人材育成専門コンサルティングを行うデストロイ・ジャパン株式会社の創業メンバーに加わり、専務取締役に就任。社員が自発的に行動する組織作りに注力している。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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