2024年 4月 24日 (水)

退職したいのに会社が認めてくれません 辞めたら賠償請求されますか?

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弁護士解説 雇用期間の定めがなければ、2週間以上前に伝えればよい

   労働者が「仕事を辞めたい」と言っているのに会社がこれを「認めない」ということは、少なからずある相談です。しかし、今回のご相談は家族の急病が退職理由ですし、すぐに退職を認めて欲しいものですよね。会社が認めなくても辞めることができる場合とできない場合があるのですが、雇用契約の期間が決まっている場合と決まっていない場合とで異なるので、解説していきたいと思います。

   まず、雇用期間の定めがない場合は、労働者が辞めるということを会社に伝えてから2週間が経過すると雇用契約は終了します(民法627条)。つまり、契約を終わらせたい日の2週間以上前に会社に辞めることを伝えれば、会社が認めなくても法律的には問題なく辞められるのです。

   これに対し、雇用契約の期間が定まっている場合(1年以内の場合)は、過失があったら損害賠償される可能性はあるものの、労働者は「やむを得ない事由」があるときは、会社の了承がなくても、会社を辞めることができます(民法628条)。「やむを得ない事由」とは、負傷により相当期間就労できなくなった場合が典型的ですが、近親者の介護の必要など家庭の事情もこれにあたる場合があります。なお、労働基準法137条により、雇用契約の期間が1年を超える場合には、契約期間の最初の日から1年が経過すれば、いつでも退職することができるとされています。

   今回のご相談は、雇用期間の定めのない雇用契約であると思われるので、2週間以上前に退職の意思を伝えれば辞められるということになりますね。

   次に、実際に会社を辞めるときの手続きの方法や意思の伝え方についてです。

   口頭で伝えても構わないのですが、後々トラブルになるのを防ぐためにも、書面の形で会社に提出するほうがよいでしょう。書面には、提出日と氏名を記載し、「○年○月○日をもって退職いたします」と明記します。その際、どのようなものを提出したのかが後で分かるようにするために、コピーをご自身の手元に残しておくことも大事です。

   また、トラブルが予想されるという場合には、内容証明郵便で会社に送り、会社を辞める意思を伝えたことやその時期について、後で証明できるようにしておくというのが確実な方法です。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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