2024年 5月 8日 (水)

パワハラ上司にみんな困っています 会社が解雇することはできますか?

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弁護士解説 解雇には、客観的な合理的理由などが必要

   ひどい上司ですね・・・周囲の社員の方々の心労も大変なことでしょう。

   さて、使用者は無制限に労働者を解雇できるわけではありません。解雇は、労働契約法16条で客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には無効とされます。

   では、どのような場合が、客観的に合理的な理由があると言えるでしょうか。

   幾つかの類型がありますが、病気や怪我などで労働能力が相当程度低下した場合や、勤務成績の著しい不良などがこれにあたります。また、労働者が会社の規律や職務命令などに違反した場合があります。さらには、整理解雇といって会社の経営上の必要に基づくものなどがあります。

   いずれの解雇事由もさまざまな要素から判断し、全体として会社の一方的な都合による解雇といえれば不当解雇となってしまいます。

   また、退職勧奨とは、使用者が労働者に対して会社を自主的に辞めるような働きかけをすることをいいます。俗に「肩叩き」と言われている行為ですね。退職勧奨に応じるかどうかはあくまで労働者の自由なので、会社が退職勧奨をすることは基本的に自由にできます。

   もっとも、会社が辞めさせたいと思っている労働者に対し、本人が辞めるまでしつこく退職勧奨することには問題があります。退職勧奨が自由にできるというのは、あくまで労働者に断わる自由があることが前提になっているからです。相手が明確に拒否しているのに何度も退職を促すと、それは退職勧奨とはいえず退職強要といえます。

   労働者の退職の自由を奪うような退職強要は不法行為なので、損害賠償の対象になってしまいます。注意してください。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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