2024年 4月 21日 (日)

まさか!の「就活の落とし穴」 ハマる女子学生はこんなタイプ

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   この連載もとうとう、50回目。今後ともよろしくお願いします。さて、今回のテーマは「優秀女子の落とし穴」です。

   女子学生の就活は売り手市場となるここ数年前から絶好調です。

   今年8月に発表された学校基本調査では、女子学生のみの就職率は78.5%で、これは史上4番目に高い数値です(全体での就職率は72.6%、男子67.8%)。

「営業」をめぐるアレコレ

「優秀女子」といえども・・・
「優秀女子」といえども・・・

   一般職採用が抑制されていく一方、総合職採用は増え続け、厚生労働省の「コース別雇用管理制度 の実施・指導状況調査」によると、2014年調査で総合職の男女別採用比率では女性が22.2%。2009年調査では9.2%なので、倍増しています。

   この背景には、「男子学生の変な格好付け」があることは、以前、「『純情』な男子は就活に不利!? 『女子の方が優秀』説を分析する」(2015年8月31日配信)で書きましたので省略。

   今回は、好調そうに見える女子学生の落とし穴をまとめていきます。

   営業職を就活序盤で敬遠したがる学生は、男子でも結構います。が、なんだかんだ言っても、営業職に収まっていくのは総合職の大半が営業職であるからです。それを除外していったところで、就活などうまくいくわけがありません。

   これと同じことが、総合職の女子学生にも言えます。人気となっているのが、商品企画や広報、採用担当など。

   商品企画は特に食品業界で人気職種です。確かに、面白そうですし、マスコミでもよく注目されます。が、採用担当者は商品企画志望の学生を冷めた目で見ています。

「実際は地味な作業の繰り返しですよ。試食して企画書を書いて、ボツになっての繰り返し。部署内で企画が通っても、営業部との合同会議や役員試食、社長試食でひっくり返ることだってよくあります。折れない心がないと続かないですね」
「営業からの提案で商品企画が一気に進むこともあります。そういう実態を知らないまま商品企画をやりたい、と言われてもちょっと・・・」

商品企画の苦労がわかる漫画

   2015年8月刊行の『チロルチョコで働いています』(伊東フミ、KADOKAWA/メディアファクトリー)は、チロルチョコの企画室が舞台のエッセイ漫画。チロルチョコへの取材をもとにしたフィクションで、食品メーカーの商品企画の苦労を丁寧に描いています。2013年発売の「チロくま」(鹿児島名産の氷菓・アイス「白熊」味のチロルチョコ)を題材にしており、包装紙デザインだけでもアイデアを出しては修正の繰り返し。ようやくできても、営業担当が集まる全国会議でまたボツに。しかも、同時に提案されたナポリタン味はお蔵入り・・・。商品企画担当社員の実態をうまくまとめたエッセイ漫画です。

   商品企画以外では、採用担当志望者も多いです。が、採用担当にしろ、商品企画にしろ、企業側からは「営業嫌いの裏返し」との辛らつな意見が。

   これは、実際に女子学生からも同様の話を聞いています。要するに営業へのイメージが悪すぎる、と。

   ただ、総合職の場合、男性・女性問わず、どの部署に配属されるかは、本人の能力と適性などで左右されます。本人の希望が実現できるとは限らないわけで。それを、総合職志望、だけど専門部署志望、というのはちょっと無理があります。

「一般職で楽をしたくない」

   短大併設の女子大出身者や、女子高校でクラスの大半が一般職就職をした、など一般職にネガティブな感情を持つ女子学生が言いやすいのが、この「楽をしたくない」。

   確かに、女子学生からすれば、その周囲で自分よりも意識が低い(はっきり言えばバカそうに見える)同級生などが一般職志望だと、「ああは、なりたくない」と考えてしまうようです。

   そうした話もよく聞きますが、これはこれで落とし穴。

   まず、一般職の仕事も、それなりに高度で、役職も係長クラスまで昇進する、という企業も増えています。総合商社や大手メーカーなどでは、一般職でも早慶クラスでないとそう簡単に就職できない、という実態があります。

   次に、「一般職で楽をしたくない」との言い方は、他でもない一般職の先輩社員から無用の反発を招くだけです。

   総合職志望の学生の心中はどうあれ、一般職社員は一般職社員でプライドがあります。それに、一般職の仕事が実は総合職とそう変わらないという企業もあります。それを学生が見分けるのはまず無理。社会人だって聞かない限り、わかりません。

   では、一般職社員のいないところで話せばいいか、といえばそうでもありません。

   女性総合職や管理職との懇談会、あるいは面接などでも、一般職はちゃんといます。他ならぬ総合職・管理職の女性社員です。

   安倍政権のウーマノミクスで、数値目標とはいえ、女性管理職比率の引き上げなどが定められました。

   これを受けて、各企業とも女性管理職を増やそうとしています。が、問題は人材不足。そこで、一般職のエース級を管理職に昇格(または一度、総合職に転換してから管理職へ)させる企業が増えています。

   つまり、女子学生からすれば、総合職・管理職だから一般職へのネガティブな思いを話しても大丈夫だろう、と思っていても、話す相手が元・一般職ということはよくあるのです。

   元・一般職で、今は課長補佐になっている女性はこう話します。

「一般職出身の私としては、複雑な心境です。それに、総合職は一般職と一緒になって仕事をしていくものです。あまり一般職を低く見る女子学生だといくら優秀でも一緒に仕事ができるか、となってしまいます」

「男性には負けたくない」

   優秀な女子学生、それも難関女子大や女性教員ゼミ所属の女子学生でときどきいるのが、こちらの「男には負けたくない」。

   こちらは、保守的な企業だけでなく、女性総合職の多い企業からも不評でした。

「意気込みはわかりますが、一世代前の話ですね。それを、これから社会に出ようとする女子学生が話してしまうのはどうでしょうか。うちだと、女性総合職や管理職も多いですが、男性社員もいますし、取引先やお客様だって男性がいますし」

   落とし穴にはまる優秀女子を取材していくと、ときどき出たのが「意識高い系」です。

   が、私はそもそも「意識高い系学生」はツチノコと同じで、言われ続けている割に実態が見えない(あるいはそもそも存在しない)と見ています。

   意識が高い、というよりは空回りと言う方が近いと思います。

   これは男子学生も同じですが、業界・企業や職種(特に営業職)への理解が浅く、イメージだけだと、なかなかうまくいきません。

   仮に内定まで得たとしても、入社後、イメージとのギャップに苦しみ、すぐ辞めてしまうことになります。

   そうならないためには、1日インターンシップなども含め、様々な機会から検討した方がいいでしょう。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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