2024年 4月 20日 (土)

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寿司をひろめた最大の功労者は?

   こういう状況だと、日本で寿司を学んで10年かかってやっと握らせてもらうなんていう話は、どう考えても割に合わない。とりわけ新しく学びたいと考える人にとっては。物価と給与と手っ取り早さを考えたら、寿司アカデミーで学んで、アメリカで握ったほうがいいかもしれない。実際に、私の友人も寿司アカデミーに通っていたが、生徒は外国人がとても多かったという。さっさと技術を学んで、稼げるところで稼ぎたいそうだ。

   逆の見かたをしたら、てっとりばやい寿司アカデミーでのお陰で、これだけ世界の寿司が広がったともいえる。10年かからないと握れないような人材育成では、世界中の日本食レストランや寿司の需要に到底追いつかないし、握る人が不足すれば寿司だって広がらない。外国人を3か月で寿司職人として送り出す効率のよい人材育成をおこなっているアカデミーがなければ、世界に寿司は広がらなかったかもしれない。

   10年修行したベテランだけが本物の日本式の寿司を忠実に外国で展開するという方式では、世界のひとが気軽に寿司に触れられないし、高所得者だけの食べ物になるだろう。

   寿司をひろめた最大の功労者は、むしろ寿司アカデミーなのかもしれないから、感謝こそすれ、非難する筋合いはないだろう。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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