2024年 4月 24日 (水)

会社倒産時の未払い給料 何とか受け取る方法はありますか?

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   ボーナス時期となり、ニュースでは賞与額が減少した企業も大幅にアップした企業もあるようで、金額に一喜一憂しそうです。そんな中、今年大幅リストラを決めたある企業では、一般社員の賞与が2か月分から1か月分に一律で引き下げられたようで、社員のみなさんはリストラを免れても依然として苦戦を強いられているようですね。

   さて、会社のなかには、「ボーナス減」どころか、「ボーナス無し」に、さらには倒産の危機に見舞われているところもあるかもしれません。もし、最悪のケースで会社が実際に倒れてしまった時、給料や退職金はどうなるのでしょうか。もし出なかった場合の対処法を含め、お答えします。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)

倒産するかと不安でいっぱい

どうなる?私の給料・・・
どうなる?私の給料・・・

   先月、会社の役員の人たちが本社に集まって、長々と会議をしていました。後から、上司にこっそり教えてもらったのですが、「現在会社の赤字額が膨らんでしまっており、このままでは倒産してしまうかもしれない。もう資金繰りが厳しく、銀行も融資を辞めるらしい」との事でした。

   12月に入ってボーナスの時期となり、楽しみにしていたのですが、業績悪化のため今年は全社員ボーナス無しの通達がありました。賞与は「業績による」と入社の時に言われているので、仕方のない事だとは思っているのですが、このままだと会社が倒産してしまうのではないかと不安でいっぱいです。

   もし悪い予想が的中し、会社が倒産してしまった場合、その時の給料や退職金は支払ってくれるものでしょうか。また支払われなかった場合、どういった対処をしたらいいのでしょうか。(実際の事例を一部変更しています)

弁護士解説 法律上は優先される扱いになっているが・・・

   楽しみにしていたボーナスがなくなってしまったのは残念ですが、それよりも会社がつぶれてしまったら・・・と考えると従業員の方々にとっては、それまで働いたご自分の給料や退職金、その後の生活がどうなってしまうのかが大きな関心事ですよね。

   まず会社が倒産してしまった場合、給料や退職金がどうなるのか、法律的な観点から説明します。

   倒産と一口に言っても、破産や民事再生、特別清算などの法律上の倒産、銀行取引停止などの事実上の倒産といろいろあるのですが、今回は法律上の倒産に限って書かせていただきます。

   倒産してしまった後に未払いの給料や退職金の支払が受けられるか、というところですが、結論から言いますと、支払を受けられる可能性があります。給料や退職金の一部は会社が破産した場合や、民事再生をした場合でも、こういった手続きによらないで優先的に支払うように法律で定められています。

   しかし、結局会社に財産がなければ支払えないのですから、優先的に支払うべき給与や退職金であっても、全額支払えるか、分からないですよね。

   弁護士からすれば、法律上は優先されるという扱いになっているけれど、だからと言って必ず満額受け取れるわけではない、と説明せざるを得ないですね。

未払い賃金立替払制度とは

   未払賃金があれば、ほかに未払い賃金立替払制度があります。これは、上限金額が設定されていますが、未払いの賃金や退職金のうち、8割を政府が立て替えてくれるというものです。

   これについては、実際に法律上または事実上の倒産をする6か月前から(倒産した日をはさみ)2年の間に退職した人でなければ受け取れないので、この点も注意が必要です。

   これ以外に失業保険が受け取れます。会社が倒産したという理由で退職した場合、いわゆる会社都合退職の扱いになります。会社都合退職の場合は、自己都合退職の場合よりも3か月ほど早く失業保険をもらえますし、就労年数の長い人であればより長期間の失業保険がもらえることになるのです。

   この際、離職票が重要になってきますので、離職理由が会社の倒産であることが書かれていることをしっかり確認して受け取りましょう。


ポイント2点

●倒産や民事再生になった場合、給料や退職金の一部を労働者に優先的に支払う事が法律で定められている。しかし、資力の無い会社からは満額受け取れない可能性がある。

●政府の未払い賃金立替払制度に申請をすることで補う事ができるほか、倒産の場合は会社都合での退職になるので失業保険を早期に受け取ることが可能である。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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