「ハンサムマザー」への憧れ 「女性の足元」に起きている変化

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   ここ数年、若い女性を中心に「スニーカー」が流行っています。女子高生から女子大生、そしてアラサーキャリアOLから、働く母親まで。オフィス向けの靴にも、スニーカーのようなカジュアル系のデザインや、マニッシュ(男性的なデザイン)が目立ちます。こうした、カジュアルブームの背景には一体、何があるのでしょうか。

   朝日新聞サイトで先日、「きれいめスニーカー 新定番」という特集を見かけました(デジタル「&WOMEN」2015年11月24日)。記事によると、16年春夏のパリ・コレクションで、エルメスが「スニーカー」を取り入れたそう。「モードなスニーカーは、もはや定番」で、東京ミッドタウン(六本木)にあるセレクトショップでも、今春からスニーカーに力を入れるお店が目立つようになったそうです。

スニーカーが流行するきっかけ

何履いて行こうかな
何履いて行こうかな

   ファッションの流行はいつでも、「F1層(20歳から34歳までの女性)」から始まる・・・といわれます。筆者の記憶だと、女子大生から20代前半のOLが読むファッション誌、「CanCam」が「スニーカースタイル」を特集し始めたのが、2011年春頃。それがここ2年ほどは、アラサーキャリアOL、働く母親向けの雑誌でも、カジュアルなスニーカーファッションを見かけるようになりました。

   冒頭に紹介した記事では、スニーカーが定番化した理由として、「ファッションのジェンダーレス化」と、「東日本大震災」をあげています。女性誌『ララビギン』編集長の波多和久さんいわく、「数年前から世界的にジェンダーレス(性差を感じさせない)なファッションが広がってきた」。日本国内では、東日本大震災で、スニーカーの実用性が改めて見直されたことも大きな要因だといいます。仕事に家庭に・・・と大変な女性たちにとっては、いかにも「女」らしいハイヒールもいいけれど、たまにはカジュアルなスニーカーファッションで、ジェンダーの壁を軽やかに超えたいという思いも、あるのかもしれません。

「おしゃれを頑張り過ぎない」

   女性たちの間でスニーカーが流行っている背景には、主婦向け雑誌『VERY』が提唱した「ハンサムマザー」という概念も関係しています。ハンサムマザーとは、「仕事に子育てに忙しい毎日を送っているけれど、時間を上手にマネジメントして、おしゃれにも手を抜かないワーキングマザー」のこと。筆者が、20代の独身女性にインタビューした際も、「VERYに出てくる人たちに憧れる」という声を、たくさん耳にしました。

   同誌はもともと「専業主婦向け」でしたが、ここ数年は、働く母親にも裾野を広げています。部数も順調に伸びているようです。家事や仕事、おしゃれに「時短」や「ユルさ」を取り入れ、いきいきと毎日を過ごす。そんなライフスタイルに憧れる女性が、増えているのでしょう。その象徴が、「おしゃれを頑張り過ぎない」スニーカーファッションなのです。

   「ハンサムマザー」という生き方に象徴される、スニーカーファッションの流行。筆者も早速、学生時代から履いている古いスニーカーを、新調してみようかなと思いました。エルメスは無理ですが・・・。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
【Facebookページ】北条かや
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