2024年 4月 19日 (金)

「先輩のヒミツ」を会社が調査 「知っていて答えない」と処分されますか?

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就業規則の規定は合理的であることが求められる

   会社は懲戒になる場合の種別及び事由を就業規則で定め、就業規則を定めることで懲戒処分をすることが可能となります。もちろん、就業規則の規定については合理的であることが求められます。労働契約法15条では、なされた懲戒が、労働者の行為の性質や様子などの事情に照らして、客観的に合理的な理由もなく社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効とすると定めています。

   今回のケースでは、先ほど説明した通り調査協力の義務がない以上、仮に会社がご相談者に対して懲戒処分としての減給をすると権利の濫用となるでしょう。

   以上のとおり、先輩が仕事中にウトウトすることは好ましいことではありませんが、実際はゲームにハマっていて毎晩深夜まで熱中してやっていたことを会社に報告する必要はないでしょうね。それを正直に報告しなかったとしても会社から減給処分を受ける可能性は低いでしょう。

   しかし、お世話になっている先輩とはいえ、仕事に影響が出るようなゲームの仕方をしているのは、いけませんね。個人的に先輩に話してみるなどして、まじめに仕事に取り組むよう、さりげなく促してみましょう。

ポイント2点

●会社から事情聴取を求められた場合に、調査対象である違反行為がどのような性質、内容のものであるのか、労働者が内容を知る機会があったかどうかによって、調査協力の義務が従業員に生じる場合がある。

●減給などの懲戒は、就業規則の規定で定められており、労働者の行為の性質や様子などの事情に照らして、客観的に合理的な理由もなく社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効になります。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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