2024年 4月 26日 (金)

仕事環境、もう我慢できない 労働組合を結成したいのですが

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弁護士回答 要件を満たせば、自由に作ることができる

   労働環境を改善したいとき、1人で会社側と交渉してもなかなか対等に話すことは難しいですよね。そういう時は、労働組合を作ることで、対等に交渉していくことができます。会社側は、労働組合からの団体交渉を原則として拒むことができず、交渉に応じる義務があります。

   また、ある程度力のある労働組合であれば、会社からの不当な解雇や転勤命令から守ってくれることがあります。会社側としても、労働組合とはできるだけ争いたくないというのが本音ですから、労働組合に加入しているだけで、会社側からの不当な扱いに対する牽制になることもあります。

   では、労働組合とはどういったものなのか。労働組合とは、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」をいいます(労働組合法第2条本文)。

   条文を4つに分けて詳しく説明していきます。

(1)労働者が主体となって作られていること。
(2)労働者が自主的に運営していること。
(3)労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を主な目的としていること。
(4)団体であること。

   まず、(1)の様に労働者が主体となって作られていることが必要ですので、労働組合に会社の役員など使用者側の人が入っていた場合には上記の要件には当てはまりません。また、(2)の労働者が自主的に運営していることが必要ですので、会社から、労働組合の活動に必要な経費を援助してもらっているときも、上記の要件には当てはまりません。(3)労働条件の維持や改善その他経済的地位の向上を主な目的としていることから、政治運動を主目的とするような場合には上記の要件に当てはまりません。

   そして、(4)労働組合は1つの団体ですから、労働組合を結成しようとするときは、2人以上の組合員がいることが最低条件になります。ただ、会社側との交渉は力関係(人数の多い少ない)で決まりますから、過半数の従業員の参加を目指しましょう。

   労働組合を結成し交渉する権利は、憲法で保障されているので(憲法28条)、労働組合は4つの要件を満たせば、自由に作ることができます。役所等に届け出る必要もありません。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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