2024年 4月 20日 (土)

「ソーシャルゲーム」化する国際競争 日本は「勝ち組」になれるのか
【アジア海外就職】

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   昨(2015)年末、フィンランドでベーシックインカムの導入が検討されるというニュースが流れました。

   ベーシックインカムとは、国が、国民全員に、金持ちだろうが貧乏人だろうが分け隔てなく、生活できるくらいの金額を渡す。その代わり、それ以外の社会保障はなしよ、という政策です。

   フィンランドだと月額800ユーロ(約11万円)くらいが検討されており、もし仮に日本でやるとしたら8-12万円くらいになる感じでしょうか。国は「生きていけるだけのお金は用意するから、あとは自分でなんとかしてね」という、ある意味面倒を見ているけども、ある意味突き放しているような政策です。

無料参加と課金アイテム

その時、日本は・・・
その時、日本は・・・

   これを見たとき思ったのは、「なんかソーシャルゲームみたいだな」ってことです。

   2016年現在、スマホで出ているゲームのほとんどは無料でダウンロードして、無料で多くの機能を楽しむことができます。

   日常的な冒険をしたり、宝物を見つけて強くなったり、時々開催される大会にでて腕試しをしたりと、やれることはたくさんあります。

   ただ、すごく強くなれる宝物を手に入れたり、大会で上位入賞しようとしたりすると話が変わってきます。課金をしないと手に入らないアイテムは、無料でできる冒険で手に入るアイテムとは格段に違う強力さなので、超絶いいアイテム入手や上位入賞を目指し始めると、課金が必須になるわけです。

   最初は無課金で楽しんでいた人も、段々と欲が出てきて強い宝物が欲しくなったり、上位入賞がしたくなったりする。そのために、課金を始める。ゲームメーカーは、この様な人を増やす仕組みを作って、稼ぐわけです。

ベーシックインカムとの関係

   業者側からしてみると、ユーザーのほとんどが無課金です。しかし、ちょっとずつ課金の魅力を知らせていき、一部、またその一部の人たちが全国のトップをめざすようになり、数十万、数百万円の課金をするような「廃課金」のような人もでてきます。

   このような、多く課金する人たちを何人育てられるかが、業者側のミッションになるわけです。

   ベーシックインカムの仕組みは、これに似たところがあります。

   今の世界は「働かざる者喰うべからず」であり(ヒモとか金持ちのボンボンなどは除く)、ほとんどの人は労働という名の「課金」をして、人生というゲームを楽しんでいます。

   しかし、ベーシックインカムは、この課金をしなくても最低限の生活ができる様にする仕組みです。

   多くの人は、無課金でできる遊びを楽しむのですが、一部の人はそれだけでは満足せず、もっといい宝物を、ランキング上位入賞を目指してガンガン課金します。

   こちらの課金に当たるものが税金です。そして、業者である国は課金(税金)がなければ無課金ユーザーが遊ぶためのサーバ代も稼げないので、課金をしてくれる国民は非常に大切になります。

国を変えていく人は、これからどんどん増えていく

   おそらく、ベーシックインカムが導入されると、無課金ユーザーと(廃)課金ユーザーにわかれ、国としては(廃)課金ユーザーにいかにして楽しんでもらうかが勝負になるでしょう。

   もちろん、今でも多くの税金を払ってくれる人は重要で、一部の国ではそのようなお金持ちを優遇し、自国に住んでもらえるよう努力をしています。

   もし、多くの国でベーシックインカムが導入されるようになったら、この「廃課金」誘致が国際間で熾烈になっていくことが予想されます。

   居住地を変えるのは、さほど難しいことではありません。居住地にかかわらず国籍を持っている人から税金を取るアメリカのような国の場合、あえてアメリカ国籍を捨てて別の国の国民になるような人もいます。

   ソーシャルゲームで、新しいゲームをダウンロードして課金先を変えるように、国を変えていく人はこれからどんどん増えていくはずです。

   そんな世の中で、我々日本は、「廃課金」の人たちにとって魅力的な制度をつくることができるのか?

   ベーシックインカム導入のキモは、実はこっちなのではないかと思うのです。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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