2020年 11月 26日 (木)

「同一労働同一賃金なら賃下げ」は本当か

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正社員は賃下げではなく多様化する

   では、正社員の賃金水準はどう変わるのだろうか。連合の中の人たちが心配しているように、非正規に引きずられる形で下がるのだろうか。実際はそんな単純な話ではない。あえて言うなら、多様化するというのが筆者の意見だ。たとえば、業務命令で全国を転勤し、高い貢献を要求される正社員の賃金は大きく引き上げられるだろう。終身雇用の保証がないにもかかわらずそうしたワークスタイルを強要するには、それだけの対価が必要となるからだ。

   一方で、転勤などの義務はなく、派遣社員と同様のデスクワークをこなす正社員の時給は、ボーナスや退職金、福利厚生の分だけ、派遣社員より低くなるだろう。どうも政府は、そうした細かい部分まですべてガイドラインのようなものを作って規制で解決しようとしている節がある。だが、仕事の値札は、あくまでも市場原理にゆだねるべきだ。

   あくまで高年収が欲しいという人は、一生懸命努力して、より評価されるポストに就いて高い成果を上げればいい。ワークライフバランスの方が大切だという人は、それほどの責任が伴わず残業も少ない業務に移ればいい。もう気づいた人も多いだろうが、同一労働同一賃金が浸透すれば、正社員という言葉も非正規という概念も消えることになる。その中でどう働くかは個人の自由だ。『総合職』でひとくくりにされていやも応もなく滅私奉公させられる現状より、そうした選択肢が増える分、満足する人は多いのではないか。

   最後に、こうした話をすると必ずとんでくる質問と、それへの答えを紹介しておこう。

「でも、会社が従来のような滅私奉公を強要し続けながら、賃金だけ非正規並みに下げようとしたらどうするんですか?」

   解雇しやすくなるということは、同時に採用しやすくなるということでもある。そんな愚かな会社からは、とっとと転職するといい。すき家の一件を見ても明らかなように、流動性の高い労働市場で泣くのは、労働者ではなく質の悪い労働環境しか提供できない企業の方なのだ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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