母親が就活で子供に望む 「公務員・大企業より人気」の仕事とは

   2017年卒の就職戦線がスタートしたが、仕事をもつ母親に「子供にとって望ましい就職先」を尋ねたところ、終身雇用の大企業や公務員よりも、社会の変化に対応できる専門職や技術職を望む声が多いことが民間の調査でわかった。

   もっとも、大学生らに大企業の人気は依然として高く、両親に就職活動について「相談する」と答えた学生は50%と半数どまり。前年にも増して短期決戦となる今年の就職活動で、就活生と親の世代間ギャップは埋まるのだろうか。

10年先に残っている職業は?

就職戦線がスタート
就職戦線がスタート

   人材サービスの「ビースタイル」が、「自分の子供に選んでもらいたい就職先」について、仕事をもつ母親に尋ねた(有効回答344件、平均年齢44歳)ところ、子供に「国内の大手企業に就職し、終身雇用で働いてほしい」と答えたのは、20%で最下位(除く「その他」)だった。「公務員として安定して働いてほしい」も31%で、意外にも大企業や公務員の終身雇用を望む母親は少なかった(2016年3月1日、発表)。

   最も多かったのは「専門職・技術職など手に職や資格を持って働いてほしい」の69%。このほかは「大手・グローバル企業で国境を越えて働いてほしい」が30%、「起業・フリーランスなど独立して働いてほしい」が21%など、相対的に少なかった。

   母親たちが専門職や技術職を支持する理由としては、「既存の企業や組織に頼らず、自身の能力を磨き、社会貢献できるような仕事についてほしいから」(60代、自営業)、「10年先は、どのような職業が残っているのか。社会情勢によって仕事は変わるから」(40代、アルバイト)などの声があった。

安定・安心に対する考え方に変化

   調査に当たったビースタイルの「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長は「自分の子供が安定・安心して生活していくことを願わない親はいない」としながらも、「安定・安心に対する考え方が大きく変化している」と見る。回答した母親層はバブル崩壊やリーマン・ショックなど、日本や世界経済の荒波を経験してきた世代だ。大企業に勤めていた夫(父親)がリストラにあった経験をもつ母親も多いだろう。

   川上所長は「社会環境がドラスティックに変化することを前提に、『どんな社会変化が起きても、専門的なスキルがあれば不安は少ない』という声が多かった」という。「安定した組織に守ってもらうよりも、個人として仕事に困ることのないキャリアをいかに身に付けるか。これが2017年卒の就職戦線を占うキーワードではないか」と説く。

   とはいえ、大学生らが実際にエントリーした人気企業のランキングには毎年、著名な大企業が並ぶ。マイナビの調査によると、就活生の両親の8割以上が「子供の就職活動に関心をもっている」ものの、就活生の側で「(両親と)就職活動について相談する」と答えた人は半数にとどまる。

   マイナビは「身近な社会人である親と様々な角度で就職活動について考えるケースは増えている」というが、就活生からは「こういう仕事についてほしいという話をされる」、「就職活動についてプレッシャーをかけられる」など、両親への相談に否定的な声も聞こえる。就職活動は人生の節目となる大きなイベントだけに、自己分析や業界・企業研究に親を含め、出来るだけ多くの人の意見を参考にした方がよさそうな気もするが、そこは社会へのスタートライン。自力で頑張る学生が多いのは、喜ぶべきなのかもしれない。

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