「ながらスマホは危険」とスマジャケ開発 自転車大国オランダのアイデア

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   近年、日本でも自転車がブームだが、サイクリストのみなさん、走行中のナビはどうしているだろうか。ハンドルに専用のマウントを取り付けてスマホをナビにしている人もいるだろうが、一瞬といえどもちらり、ちらりと見ながらの運転は危険だ。車と違って自転車は生身なのである。

   自転車普及率が130%(2014年時点)と、人よりも自転車が多い「自転車大国」のオランダでも、走行中のスマホ利用が原因で発生する交通事故が社会問題となっている。同国では、夜間における自転車と自動車の接触事故は昼間の約8倍。その主な原因の一つに、自転車運転中のスマホ利用が挙げられている。

   こうした事情を背景に、通信キャリア大手の「ボーダフォン」のオランダ法人(Vodafone nl)は、サイクリングを支援する非営利法人とタッグを組んで、サイクリストたちを事故から守るため、「Smart Jacket(スマート・ジャケット=賢いジャケット)」を開発した。

スマホと連動、袖にナビ表示

背中のスマイルマークで「ありがとう」
背中のスマイルマークで「ありがとう」

   このサイクリスト用のジャケットは、目的地を設定したスマホとジャケットの右袖に組み込まれたLEDライトが連動するしくみで、サイクリストに明るい矢印で道順を示してくれる。スマホに地図アプリを立ち上げて行き先を確かめるような動作がなくなるため、サイクリストたちはより運転に集中することができる。LEDライトは袖だけでなく背中にも組み込まれており、進行方向を後続の自転車や自動車にも知らせる。

   使用方法はシンプルだ。自転車に乗る前に専用のアプリで目的地を設定、スマホを右袖のポケットに入れるとジャケットに接続される。アプリはGoogleマップを利用して道順を決定し、角を曲がる直前には、右袖と背中にLEDライトで「≪」「≫」の矢印マークを表示する。

   また、道を曲がる際に進路を譲ってもらったときなどに、後続車両に向けてスマイルマークと「THANKS」の文字を背中に表示する機能もある。操作は右手の親指を立てればいい。

   2016年3月Youtubeに公開された紹介動画では、Smart Jacketを着た男性が自転車に乗り、LEDライトにナビゲートされながらオランダの夜の街を颯爽と駆け抜け、目的地へ到着するまでの様子が収められている。動画中の「Kan mobiele technologie het verkeer ook veiliger maken?(モバイルテクノロジーは交通安全にも役立つか?)」のメッセージは、ボーダフォンの自社に対する問いかけでもあり、ユーザーにスマホの利用領域を広げてほしいという気持ちの表れでもあろう。

自転車ドロ対策のデバイスも

   自転車普及率が世界一のオランダが、もう一つ抱えている問題。それは自転車の盗難である。ボーダフォンはSmart Jacketと同時に、自転車の位置を確認するためのデバイス「bikexone」と専用のアプリも公開した。bikexoneはGPS機能付きの自転車用LEDライトで、持ち主はアプリで愛車のありかを確認できるというもの。万一自転車の位置に変化があったら、その瞬間に場所を通報。自転車の盗難にいち早く気づかせてくれる。

   残念ながらSmart Jacketもbikexoneも、まだテスト段階で販売には至っていない。しかし、さすが自転車大国ならではのアイデアではないか。

   ちなみに、オランダでは、自転車窃盗犯の手口も驚くべきもの。タイヤだけ残してすべて持ち去ってしまうなどの例があるという。交差点など大勢のサイクリストがひしめいている場所で「私の自転車を返せ!」と叫ぶと、何人かは自分のことかと思って自転車を置き、慌てて逃げていく、などという噂もある。

   そういう国だからこそbikexoneが自転車を守ってくれる、と言われれば心強く思うのだろう。(執筆:中井千尋 編集:岡徳之)

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