2020年 10月 21日 (水)

誰かが無断で使っている痕跡が! 社用車の私的利用を大目に見ていいのか

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使用者責任や運行供用者責任が問われる可能性が

   会社は、社用車が私的に利用されていないかどうかについて、厳格に管理する必要があります。というのも、従業員が社用車を私的に利用している最中に事故を起こした場合、会社が責任追及される可能性があるからです。

   まず、民法では、会社には「使用者責任」があると定められております。

   「使用者責任」とは、従業員が仕事中に誰かに損害をあたえた場合には、会社も責任を負うことをいいます。ここでいう「仕事中」とは、実際に従業員が会社の仕事をしているときだけでなく、第三者から見て、その従業員が仕事中であると見える場合も含まれます。

例えば、宅配業者の従業員が業者の制服を着て運転中に事故等を起こした場合には、実際には宅配業務のための運転ではなく、仕事の合間に買い物に行くための運転中であっても、第三者から見ると、その従業員は宅配業務中に見えるので、会社は使用者責任を負う可能性があります。

逆に、出張先から自家用車で帰る途中に事故を起こした場合には、第三者から見ても、その従業員が仕事中であるようには見えないため、会社は使用者責任を負わないこととなります。

   次に、会社が社用車を管理支配し自動車の運行により利益を得ている場合、自動車損害賠償保障法という法律で、会社は運行供用者として責任を負うこととされています。これを「運行供用者責任」といいます。

   「運行供用者責任」も、仕事中の事故である場合に限定されず、会社が責任を負う可能性があります。

   同僚の行為は犯罪行為に該当する可能性がありますし、万が一事故を起こしてしまった場合は、会社にも迷惑がかかります。同僚や先輩は社用車の私的利用について軽く考えているようですが、決して「営業成績がいいから」という理由で許されることではなく、場合によっては処分が下されることもあります。きちんと上司に報告し、指導してもらうようにしましょう。

ポイント2点

●社用車を無断で私的に利用した場合には、仮に私的利用分のガソリン代を自腹で払っていたとしても、刑法上、業務上横領の罪に問われる可能性がある

●従業員が社用車の私的利用中に事故を起こした場合、仕事中の事故である場合に限らず、会社が責任を負う可能性がある

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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