2024年 3月 19日 (火)

終身雇用がなくなって困るのはだれか 若者向け政策を読むポイントを

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   2016年6月19日に改正公職選挙法が施行され、選挙権が従来の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられることとなった。それを受けて、各党とも"若者向け政策"の充実に躍起になっているようだ。先日、各政党の若者向け政策を検証するシンポジウムに出席した際には、各党の公約に若者向けの雇用政策がずらりと並んでいるのをみて少々驚いた(注※)。

   長時間労働対策、ブラック企業対策、そして同一労働同一賃金の実現などなど。これほど雇用政策が充実したのは、過去20年ほどで初めてのことではないか。2000年前後の就職氷河期世代とはえらい違いである(苦笑)。やはり選挙権の有無は重要なのだ。

   だが、政治がそうした政策を本当に実現する気があるのかどうかについては、筆者は強い疑問を感じている。いい機会なので整理しておこう。

長時間労働は終身雇用の副産物

   仕事の量には波があるので、雇用調整(労働の量を増やしたり減らしたりすること)は絶対に必要だが、そのやり方には2種類ある。

終身雇用? 要らないよ
終身雇用? 要らないよ

(1)残業時間を増やしたり減らしたりすることで雇用調整する方法

   繁忙期にはそれこそ週に2日も3日も徹夜をする代わりに、暇になっても雇用が守られる方法だ。既に正社員の椅子に座っている人間の雇用は安定する代わりに、長時間労働が慢性化し、過労死などのリスクもある。

(2)雇用者数を増やしたり減らしたりすることで雇用調整する方法

   残業を前提とせず、繁忙期には素直に新規採用し、暇になったら誰かを解雇することで対応する。当然ながら正社員の椅子に座っている人間もずっと安泰というわけではないが、普通の勤め人は終業時間とともに退社でき、過労死なんて概念もない。

   欧米諸国より年間労働時間が数百時間ほど長く、「karoshi」という英単語が存在していることからも明らかなように、わが国は(1)を採用しているほとんど唯一の先進国だ。

   というわけで、本気で「労働時間に上限を作ります」と言うのなら、それは(1)と決別して(2)に移るということだから、解雇も柔軟に認めないとつじつまが合わない。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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