休日の緊急対応、釈然としません 出勤扱い・手当支給、当然では?

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   今回のテーマは、急な休日出勤です。仕事によっては、休日に突然、緊急の対応を迫られることもあるでしょう。でも、それが勤務扱いにされなかったり、手当てが払われなかったりしたら、釈然としないかもしれません。法律的にはどのように考えればいいのでしょうか。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)

事例=休日に呼び出され仕事をしても「そういうもんだ」と

これじゃ会社も休日出勤扱いにしてくれないか
これじゃ会社も休日出勤扱いにしてくれないか

   先日、部署の異動で念願の営業デビューを果たしました。会社の花形部署ですし、なによりやりがいのある仕事なので、大変ですが充実した毎日を送っています。しかし、最近気になっていることがあります。それは、休日の緊急対応についてです。僕の会社は土日が休みとなっていて、取引先の多くもそうです。しかし時々、取引先から緊急の連絡が入り、それに対応するため休日に数時間程度ですが仕事をすることがあります。休日に業務上の対応をするのは仕方がないと思ってはいますが、予定を返上して仕事をしても出勤扱いにはなりません。上司に話をしても「営業っていうのはそういうもんだ」と取り合ってもらえません。会社で仕事をしているわけではないですが、休日に仕事の対応などをした場合、手当も出ないのはおかしいんじゃないでしょうか?

弁護士回答=その休日が「法定」なのかどうかがポイント

   予定を返上して休日出勤したにもかかわらず、会社が何ら対価を支払わないのは納得できませんよね。労働基準法上、「休日」には2種類あり、そのうちの「法定休日」に仕事をした場合には、35%の割増賃金が加算された休日手当をもらうことができます。同法は、労働者に対して「毎週1日」または「4週間に4日」の休日を与えなければならないと定めており、この「休日」を「法定休日」といいます。

   しかし、もう1種類の休日、すなわち会社の規定で「休日」とされている日に出勤をしても、必ずしもそれが労働基準法で休日手当を支払うべきであるとされている休日出勤とはならない、という前提をまず確認しておく必要があります。

   ですので、事例にある、業務に従事したという「休日」が「法定休日」であれば休日手当をもらえるし、それ以外の「法定外休日」であれば休日手当をもらうことはできない、ということになります。

   なお、会社に出勤しないで、それ以外の場所で仕事をした場合でも休日手当をもらうことができます。会社の業務命令により業務に従事したのであれば、就業の場所は特に問題にならないからです。ただし、会社と徹底的に争うような場面になったときには、会社以外の場所では会社の指揮監督の下で業務に従事したという推定が働きにくいので、確かに業務上の仕事をしていたという点をどれだけ証明できるかがポイントになります。

   休日手当は、基礎時給に割増率と(法定)休日における労働時間を乗じて計算します(基礎時給×割増率×休日における労働時間)。基礎時給とは、例えば月給制であれば、月給額を所定の労働時間で割って算出するもので、出勤日に1時間働いた場合にもらえる給料ということになります。休日手当の1時間当たりの単価はこの基礎時給に一定の割増率を乗じたものになり、割増率は1.35以上と定められています。したがって、基礎時給が2000円の人が「法定休日」に8時間働いた場合の休日手当は2万1600円(2000円×1.35×8時間)以上になります。

就業規則をしっかり見ておこう

   また、みなし残業とは、残業代、休日・深夜手当の一定額を固定して支払う制度のことをいいます。例えば、20時間分の賃金として毎月5万円がみなし残業代として支給されているような場合ですね。休日出勤分の賃金とその他の残業代の合計額が5万円を超えていた場合は、その差額を請求することができます。合計額が5万円に満たない場合は別途請求することはできません。

   残業代の計算は複雑ですが、会社の内部で定められた「休日」のうち、どの日が「法定休日」になるのか、自分の「基礎時給」はいくらなのか、みなし残業時間がどれだけあり、それに対していくら割増しされた給料を支払うとされているのかなどといった点は、一度就業規則などをしっかり見て、把握しておくことをお勧めします。

   ポイント2点

   ●休日に仕事対応をした場合、業務に従事したという「休日」が「法定休日」であれば休日手当がもらえ、それ以外の「法定外休日」であれば休日手当はもらえない。

   ●みなし残業とは残業代、休日・深夜手当の一定額を固定して支払う制度のことであり、休日出勤分の賃金の合計額が支払われた一定額分を超えた場合、その差額を請求することができる。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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