「好きだから」留まった人が犠牲に バングラデシュのテロに思う

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   私がバングラデシュに行ったのは2013年。海外就職研究家として、世界各国の日本人海外就職状況を探っていたとき。人口1.5億人の途上国に、日本人の需要はあるのか。それを確認に行きました。

東南アジアより高い危険度

オート三輪「トゥクトゥク」
オート三輪「トゥクトゥク」

   首都ダッカの街に降り立ち、ちょっと街を走っただけで、ここは東南アジアとは違うということが分かりました。明らかに危険度が高いです。直感ですが、日本を1、東南アジアを3~5、南米を7~10とすると、6~8くらいの危険度を感じます。

   例えば、乗り物。東南アジアの国々でもタイやマレーシア、インドネシアやフィリピンの都市部はすでにタクシーが一般的な乗り物です。一方、各国の田舎や、カンボジア、ラオスの都市部なんかではいまだにトゥクトゥクというオート三輪が走っています。

この国が好きだから

バングラデシュの「CNG」
バングラデシュの「CNG」

   このオート三輪の形状が、バングラデッシュではこんななのです(現地ではCNGと呼ばれています)。

   まるで檻の中に閉じ込められているような乗り物。これに乗って、異常に密集したボロボロのビルの間の細い道を、世界最強クラスの渋滞に巻き込まれながら、排ガスをたらふく吸って進む中で、この国はやばいな、と思ったのでした。

   案の定、バングラデシュに日本人の現地採用の仕事はほとんどなく、在住者は大手企業の駐在員か、JICAを中心としたボランティア。あとは、飲食店などを起業している人が少々。発展途上国ですが、その途上のスタートラインにまだ乗っていない感を感じました。

   そんななか、現地で暮らす日本人の家で、JICAの隊員などさまざまな人たちが集まる食事会があったので、行ってみました。

   なぜ、彼らはこの国に住んでいるのか。その疑問をぶつけてみようと思っていたのですが、直接聞く必要はありませんでした。

   彼らは、この国が好きなのです。

   治安が悪い、交通インフラは最悪、衛生面もひどい。でも、この国の人たちがたまらなく愛おしく、この国が少しでもいい方向に向かって行ってほしいと願っている、その感情から彼の地に滞在していることが、彼らの会話からひしひしと伝わってきました。

   そのような人たちがテロによって命を落としてしまったこの事件に、私はひどく落胆しています。

   実はその時、バングラデシュではデモが起こっており、午前中外出禁止令が出ていました。テレビを見ていると、CNGが客を乗せたまま横転させられたうえに、火を付けられている映像が繰り返し流れていました。

   今回は、ISが犯行声明を出しており、2013年当時よりもさらにリスクが大きくなっていることが分かります。そんななか、それでもバングラデシュに踏みとどまって、この国をよくしようとしていた日本人、イタリア人、アメリカ人たちが犠牲になってしまったことが、非常に悲しいです。

   何が原因なのか、どうすればこのようなことがなくなるのか。それを考えていかなくてはならないのですが、今は、犠牲者の方のご冥福をお祈りします。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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