2024年 5月 5日 (日)

「誰を出す?」説明会の司会役 無防備な企業事情も透けて見え

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「私にはとても無理」

   パターン4=30代後半以上の女性(未婚)が務める

   規模には関係なく、この5年間に女性総合職採用・管理職登用を急速に進めている企業でよくあるパターン。男子学生はパターン3と同じく、「話しやすい」と勝手に感じて、採用への効果はプラスにこそなれ、マイナスにはなりません。問題は女子学生。パターン3とは異なり、採用への効果がほとんどないか、むしろマイナスになってしまいます。

   女子学生は、司会進行役を任されている女性に対し、さしあたり「すごいなあ、優秀なんだろうなあ」と好感をもちます。ところが、何かの拍子に、未婚で子どもがいないとわかると、途端に醒めた目で見てしまう。

   「なんだ、仕事一筋か。私にはとても無理」

   多くの女子学生は、総合職を希望していても、仕事一筋に生きたい、とは考えません。仕事も結婚・出産・育児も、と欲張ります。だからこそ、パターン3の「30代以上、既婚・子持ち」は理想像ですし、採用への効果も高いのです。

   女性社員の中には、仕事一筋であることを誇りに思っている人もいます。それが就活期の女子学生には十分に理解されず、インターン・説明会ではむしろ裏目に出ます。

   このパターンを選ぶ企業は、女性管理職の不足から一般職のベテランクラスを総合職に転換しているところが多数。女性採用・登用も発展途上段階です。「女性のキャリアルートがある程度確立されていないと嫌」という女子学生は、志望度を下げたほうがいいかもしれません。ただまあ、日本の企業の大半はこういうところなのですが。

   パターン5=男女問わず20代が務める

   数百人程度の小規模か、1000人以上の大規模か、極端に分かれるのが20代社員を司会に起用するパターンです。規模が小さい場合は単に会社の歴史が浅いから。大きい場合は思い切った登用です。きちんと研修・トレーニングを積んだうえでの登用なら、採用効果は大きいでしょう。

   ただ、準備不十分で起用してしまうと、業務内容などをきちんと説明できなかったり、学生に対して先輩風を吹かせて説教してしまったりして、当然ながら逆効果。妙に受けを狙ってすべるなど、リスク要素もあります。(石渡嶺司)

   どのパターンも一長一短。だからこそ、企業は悩むわけです。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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