「エアコンは28度」に異論あり 半世紀前ノ研究ニ依拠ですと

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   昨今の省エネ徹底の流れを受け、盛夏でもエアコンの設定温度28度を律儀に守っている職場も少なくないだろう。でも、この温度では暑くて仕事がはかどらない、と心の内でぶつぶつ言っている不満分子も世に多くまぎれているに違いない。

   そんな人たちが「それ見たことか!」と快哉を叫ぶような話が飛び出した。28度設定推奨の根拠になっているのが、半世紀も前の研究データだというのだ。

戦前にまでさかのぼる

28度設定はナンセンス!?
28度設定はナンセンス!?

   気になる話は、朝日新聞出版のサイト「dot.(ドット)」の「オフィスの温度 『28度設定』の根拠は50年前の研究」という記事に詳述されている(オリジナルの記事は「AERA」 2016年8月1日号)。

   28度設定については、政府広報オンラインが「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」及び「労働安全衛生法の事務所衛生基準規則」で定められた範囲(17度以上28度以下)を根拠にしていることを指摘。さらにこの法律のもとになっているのが、1966年発表の「ビルディングの環境衛生基準に関する研究」(小林陽太郎)だとする、田辺新一教授(早稲田大学理工学術院)の話を紹介している。しかもこの小林氏の研究は、戦前から1960年前後までの古い研究に基づいているというのだ。

   調べてみると、厚生労働省が公表している「建築物環境衛生管理基準の設定 根拠の検証について」(近畿大学医学部・東賢一講師、2012年2月17日)では、この小林氏の研究が引用され、

「『ビルディングの環境衛生基準に関する研究』で提案された上限と下限が環境衛生管理基準値として採用されたと考えられる」

「1971年作成の建築物環境衛生管理技術者講習会テキストによると、『季節により快適温度が異なることなどを考慮し、冬季には17~23℃、夏季には21~28℃に保つことが良いともいわれているが、夏季に暖房、冬季に冷房を要するような特殊な場合もあるので、慎重な配慮が必要である。』」

「従って、季節を問わない通年の上限および下限として『17℃以上28℃以下』を採用したと考えられる」

   とまとめられている。50年前の研究が現在の省エネの基準とされていることは確かなようだ。

   dot.の記事はさらに、一部の最新型のものを除き、日本の空調システムの多くが28度ではなく26度を基準に設計されているとも指摘している。

おかしいと思っていた

   28度設定への懐疑論は、多くの人の賛意を得ているようだ。同記事に対し、ツイッターでは

「本当そう思う。おかしいなあと思ってた。早く回りの人もそう感じて欲しい。早く改めよう!」
「50年前の研究が直ちにダメとは思わないけど、仕事の効率性、他の節電方法などを考えて判断したい。『28度』で思考停止はまずい」
「今やるべきなのはなるべく電気を使わないことなのか、それとも快適な生活を送ることなのか、よく考えよう」

といった、鬼の首を取ったような意見が寄せられている。

「わたし、いつの頃からか分からんのですが結構26度がデフォルトって感覚で冷房してます」
「うちのオフィスの設定温度は22~24℃」

と、すでに28度推奨に決別した職場もあるようだ。

   暑がりたちから「勝利宣言」ともとれる声が上がる一方、「空調は26度を基準に設計」というくだりを見とがめ、「え。26度は寒いよ」と抵抗する人も。

   多くの職場で暑がりと寒がりがたびたび衝突するこの時期、最適温度設定論争はますますヒートアップしそうだ。(MM)

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