かつて、台湾企業の傘下で経営再建を目指しているシャープと並んで日本の電機メーカー衰退の象徴ともみなされたパナソニックが、いまや着実に復調している。そのパナソニック株を、2016年9月28日現在で300株保有。2万6568円の含み損を抱えているが、まったく心配していない。「つれ安」したところで買う太陽電池事業は需要が低迷(写真はイメージ)パナソニック株を購入したのは、2013年4月13日付の日本経済新聞の記事がきっかけだった。当時、同社はテレビ事業の不振で「2013年3月期まで2期連続で7500億円超の巨額赤字を計上する見通し」とされ、その凋落ぶりをメディアが連日のように報じていた。そんなとき、13日付の記事中で津賀一宏社長は「リストラなどの体質強化策が進み、今期は業績が回復する」と語っていた。さらに、「復活に向けて自動車と住宅分野での成長に自信を示した」とあり、津賀社長は「今期の業績回復は間違いない大丈夫だ。今期は何としてでも復配する」と、自信をみせた。その言葉を裏付けるように、2012年秋ごろには400円を割るほどの安値で推移していた株価は、13年に入ると上向き、600~700円で推移していた。この記事を読んで「ここは買い」と直感。下がるより上がる確率のほうが高いとみて、4月19日、695円で100株購入した。パナソニック株が、日経平均株価に連動する「性質」だったことも買いやすかった。日経平均株価が大きく下げ、株価が「つれ安」した(他の銘柄が悪材料などで値下がりしたときに引きずられて値下りすること)ところで長期保有を前提に買っておけば、楽しみが多い。為替問題など多少の波乱要因はあっても、今後の改善傾向が見込まれている。そう考えて、中国・上海総合指数の急落やギリシャ不安で欧米株が下がった2014年12月10日、日経平均株価が一時400円安を付けたところをねらい、1472円で100株買い増し。2016年に入り、1月21日付の日本経済新聞に「株、1年3か月ぶり安値」「米原油先物価格が下げ止まらず、世界景気の減速懸念が一段と強まった」の見出しが躍ったのを見て、下げたところを1066円で、さらに100株買増した。経営戦略に裏付けされたわかりやすさふだんから経営トップのコメントやメッセージには気を付けていたが、とりわけパナソニックの津賀社長のコメントは気になり、株式を保有してからも注意して読むようになった。社長のメッセージを投資家がどう受けとめるかが肝心だが、いま振り返ってみると津賀社長の言葉はわかりやすく、また経営戦略や財務諸表に裏付けされた内容で好感がもてた(もっとも、そう読ませる記者の腕もあったのかもしれないが...)。たとえば、津賀社長による「業績は回復する」との発言は、リストラにめどがついたことが背景にあったが、その言葉には自信があふれているように思えた。その自信は2016年6月24日開催のパナソニックの株主総会資料にもみられる。同社は2015年度の売上高を5つのセグメントに分類し、その構成比を、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ32%、アプライアンス(家電)27%、エコソリューションズ19%、AVCネットワークス14%、その他8%としている。「対処する課題」の中では、「成長戦略が軌道に乗りつつある、『家電』『住宅』『車載』で確実に利益を積み重ね、そこに高収益を目指す『B2B』(電子商品取引における企業間取引)事業を付加していくことにより、全社として確実に利益成長ができる構造をつくります」と記述していた。車載事業をみると、「車載用ミラー大手のフィコサ社との協業などにより、次世代コクピット事業で新たな成長を図ります。そして、平成30(2018)年度以降を見据え、さらなる成長に向けて、ADAS(先進運転システム)や車載電池において、開発強化や生産拠点の拡充に経営資源を重点的に投下します」と記されており、読む者が理解しやすい論理展開、内容になっている。この方針を裏付けるように、2016年6月12日付の日本経済新聞には「パナソニックは中国の大手自動車メーカー、北京汽車と組んで天津で電気自動車(EV)向けの基幹部品を合弁生産する」とある。さらに7月11日付では「車載電池事業の売上高を2018年度に15年度比2.2倍の4000億円に引き上げる」とあった。半面、7月21日付には、需要が低迷する太陽電池事業について、収益改善を図る目的で製造ラインをもつ島根工場への一本化を検討しているという。期初の方針にそって、重点投資と統廃合を着実に実施していることがうかがえる。(石井治彦)2016年9月28日現在300株保有平均取得価格1096円56銭現在の損益2016年9月28日現在▲2万6568円年初来高値2016/01/04/1254円50銭年初来安値2016/02/12/799円00銭直近終値2016/09/28/1008円00銭
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