カシオ計算機が海外向けに販売している廉価版の腕時計が、日本の若者らの間で「チープカシオ」という愛称で呼ばれブームになっている。国内ではほぼ正規流通はしておらず、家電量販店などの小売店が独自のルートで「逆輸入」し、数百円から数千円程度の値段で販売。こうした「気軽な」価格設定に、国産メーカーならではの高い品質と「レトロ」なデザインが相まって、若者の心をつかんだ。「広告や宣伝を一切していないのに」メーカーも首をひねる人気ぶり「チープカシオ」という愛称は、若者らの間で自然発生的に生まれたものだ。カシオの広報担当者も「どこまでがチープカシオにあたるのか、その定義はこちらでも把握しておりません」とJ-CASTニュースの取材に話す。その上で、「『G-SHOCK』などのブランドを冠していない製品のうち一部のものが『チープカシオ』と呼ばれているようです」と説明する。イメージとしては、「量販店などでケースごとフックにかけられ、『ジャラジャ』と陳列されている時計を想像してください」。画像共有サイト「インスタグラム」には、チープカシオの写真が2万枚以上投稿されているほか、商品を紹介・解説する専門サイトも複数みつかる。ツイッターなどにも、「シンプルでコスパ最強レトロ調のデザインがまた良い垢抜けてんなぁ」「かわいいかっこいいシンプルすぎて惚れるのに安い」「チープカシオ欲しいから明日の午後ホームセンターとか探してまわろ」など、チープカシオ愛を語る投稿が無数に出ている。ただ、こうした動きにも、カシオ側は「流行しているという認識はない」とつれない。実は、カシオの海外向けの廉価版時計は十数年前から安定的に売れているロングセラー商品。「ここ最近で、売上数が急増したということもありません」(広報担当者)。もちろん、注目を集めていることについて「実感」はしているそうで、「広告や宣伝を一切していないのに、ここまで話題になるとは、正直に驚いています」と話していた。
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