2024年 4月 24日 (水)

講演後の飲み会が楽しみ 若い人の話を聞けるから(ライフネット生命・出口治明)

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   僕は、何でもルール化するのが好きです。

   ライフネット生命を立ち上げたとき、「ベンチャーは忙しいから、会社が軌道に乗るまで原則仲間内の飲み会には行かない」というルールをつくりました。昔の飲み仲間からは、

「出口は冷たいやつだ。おれたちを捨てよった」

と軽口を叩かれているようです。

講演会が終わった後の飲み会で

講演会の後、ビールと簡単なつまみで
講演会の後、ビールと簡単なつまみで

   僕は、月に平均15回ぐらい講演をしています。みなさん、日中は働いておられるので、たいてい夜7時半からとか週末とかになります。先日は、土曜3回、日曜2回の講演をこなしました。お声かけいただければ、可能な限り全国どこへでも出かけて行って、ライフネット生命の活動をPRしていますが、終了後に、集まってくださったみなさんと、ビールと簡単なつまみで飲み会をするのがとても楽しみです。

   多くは20代、30代の若い世代。あれこれ話していると、いろいろなことに気づかされます。ポケモンGOが楽しいとか、SMAPがどうしたといった話題もあれば、

「子育てがしんどい」
「貯金がふえない」

など、本音のお話を伺うこともあります。正直なところ、僕にとっては、高齢でエスタブリッシュメントの古い友人たちと飲みながら「アベノミクスは......、TPPは......」と気炎を上げたり、昔話に花を咲かせたりするよりは、若い人たちの話に耳を傾けるほうがよほど面白いのです。

   初対面でも、大いに話が盛り上がります。僕やライフネット生命に興味があるから講演会に来てくださるのでしょうし、そういう人たちとは、たくさん共通テキストをもっているように感じます。中には、その後折にふれてSNSを通じて意見を送ってきてくれるような人もいます。講演会後の飲み会は、僕にとって貴重な新しい友人づくりの場であるともいえます。

「義務保育にすればいい」

   保育所不足も、若い人から聞かされることの多い問題です。僕の考え方は簡単で、

「義務保育にすればいい」(もちろん、自分で育てたい人は、その限りではありません)

   先生が足りないから小学校に入れない、という事態は絶対に起きません。日本が義務教育制度をとっているからです。ならば、保育所も同じように、希望者は全員入所できるようにすればいいではないですか。

   フランスでは、シラク大統領が「子どもを持っても新たな経済的負担が生じないようにする」「無料の保育所を完備する」「育児休暇から復職する際は、その間ずっと勤務していたものとみなす」というシラク3原則を政策として打ち出し、90年代半ばからわずか10年あまりで出生率を1.66から2.0台にまで引き上げることに成功しました。日本の待機児童問題も、フランスから見れば「政府の腹が据わっていないだけ」と見えるに違いありません。

   市民に不足しているものを供給する、それが政府の基本的な役割です。民間がやれないなら政府がやる。かつて住宅が足らないときは、国が住宅公団を創って、積極的に住宅を建設しました。民間で間に合うようになったら、政府は徐々に手を引けばいい。待機児童問題は、とにかくニーズに対するレスポンスが遅いと言わざるを得ません。

   その住宅にしても、日本は現在約800万戸の空き家を抱えています。その一方で毎年100万戸に近い住宅を造っています。中古住宅の取得を税制で優遇し、逆に新設住宅については税制優遇を止めれば、空き家も8年程度でゼロになるという試算があります。これもまた、政府の腹が据わっているかどうかの問題なのではないでしょうか。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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