2024年 4月 19日 (金)

フィデル・カストロの死に思う 「とんでもない国」の行く末

   2016年11月25日、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去しました。1950年代、アメリカの傀儡だった政府をチェ・ゲバラとともに打倒するキューバ革命を起こし、その後約50年にわたり社会主義政権を率いてきたカストロ氏。

   その彼がつくったキューバという国は、他の社会主義国がどんどん資本主義になっていくなか、頑なに社会主義国であり続けた、とんでもない国でした。

  • キューバでは、クラシックカーが今なお現役
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街がボロい、物がない

   教育費、医療費が無料で、治安もものすごくよい。海岸線に美しいビーチが広がり、人々は夜な夜な、モヒートやキューバ・リブレといった酒を飲み、極上のキューバ音楽に酔いしれて過ごす......そんな楽園的な一面もあります。

   しかし、現地に行ってみると、それ以外の一面も見えてきます。

   まず、街がボロい。

   アメリカからの経済制裁を受けつづけており、あらゆるものに輸入制限がかけられています。そのため数十年前の建物だらけで、21世紀とはとても思えない景観が広がっています。

   自動車は、自国で生産できず、外から輸入もできないので、国交があった頃の1960年代のアメリカ車や1970年代のソ連車といったクラシックカーを修理しながら使っています。

   そして、物がない。

   ごくまれに中国から輸入されたコカ・コーラなんかがありますが、基本的にスーパーで売っている飲み物は国産のコーラもどき、スプライトもどき、オレンジジュースくらい。果物や野菜も数えるほどしか種類がありません。

   店で売っている電化製品は中古がほとんど。窓から見える家の中では、私が訪れた2008年でも、ファミコンのベースボールをやっていました。

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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