おや「杞憂」日本人の典型かな 仕事を一つずつこなしていけば(江上剛)

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「将来が不安です。平より上になれるのか、結婚はできるのか、老後はだいじょうぶかと考え出すと眠れません」

   「杞憂」という言葉があるのを知っているよね。

   古代の中国に杞という国があって、その国の人が、天が崩れて落ちてくるのではないかと心配で夜も寝られず、食事もとれなかったという故事に由来している言葉だ。

  • 明けない夜はないと思いなおして
    明けない夜はないと思いなおして

日本が超高齢社会になったから

   日本人って「杞憂」国民だね。いつも何かに怯えたり、心配したり。ちっとも今を楽しむことを知らない。

   ちょっと前のデータになるけど、2011年の「5年後に生活が厳しくなっているか」というギャラップの調査で日本は楽観の度合いで下位から5番目だった。1位はギリシャ。2011年は東日本大震災があったから仕方がない面はあるけど、日本人は将来に不安を抱く国民なのだろう。

   また厚生労働省の生活のゆとりに関する2016年の調査では、大変苦しい、やや苦しいという人が60.3%もいる。1990年は36.8%、2000年は50.7%だから、毎年順調(?)に不幸だ、ゆとりがないという人が増えていることになる。

   政府がアベノミクスは成功だ、景気は回復していると連呼しても国民の実感はそうじゃない。野党からアベノミクスは失敗したと言われる理由もここにある。

   でも考えてみたら、これも理由がある。日本が「超高齢社会」になったからだ。

   高齢化の定義は、満65歳以上の人が占める割合である高齢化比率が7%超を「高齢化社会」、14%超を「高齢社会」、21%超を「超高齢社会」というらしい。日本は2007年にこの比率が21%を超え「超高齢社会」に突入した。今では高齢化比率は26%にもなっている。

   高齢者が多くなれば社会から活力が失せ、将来を悲観するようになるのは仕方がない。やり直しがきかないからね。

   あなたもそんな「杞憂」日本人の典型じゃないのかな?

寝る前に部屋の壁に向かって

   でも私たちは、将来台風が来る、地震が来る、火事になると不幸なことをいっぱい想像しても、コツコツと農作業に励み、作物を作り、恵みに感謝する。これは日本人のいいところだと思う。

   将来のことを心配しても仕方がないとは言わない。私だって心配になることがあるからね。特にトラブルに巻き込まれたときなんか、どうして俺がこんな目に会うんだと悲観して死にたくなったり、もう何もかも投げ出したくなったりすることもある。

   しかし明けない夜はないと思いなおして目の前の仕事をしっかりとこなしていくしかない。仕事を一生懸命やっていれば、いろんなことを忘れられるからね。

   もう一つ、私がアドバイスできるとしたら、寝る前に部屋の壁に向かって坐禅をすることだ。静かに瞼を半分ほど閉じて、息を吐く。すると最初は色々と雑念がわき上がるけど、そのうち落ち着いた気持ちになり、ぐっすりと眠ることができる。お勧めだね。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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