2024年 4月 20日 (土)

給料は「ガマン代」だ! 「やりがい」は「永遠の夢さがし」(江上剛)

やりがいのある仕事で稼げるのは一部のエリートだけ

   企業に融資をして、大きく育てたいなんて夢を持って銀行に入った若手に会うと、今、誰もが口を揃えて「こんなはずじゃなかった」と言います。

   私の銀行員時代は「企業を育てる」というのが重要な使命でした。ところが今は、「手数料を稼ぐ」が最大の使命となっており、投資信託や保険の販売ばかりやらせられるのです。それらはお客にリスクを負わせ、銀行は確実に手数料を稼げますから、言い方は悪いですが「後は野となれ、山となれ」なんです。

   金融庁はこんな銀行の姿勢を問題視していますが、銀行は収益を上げることに必死ですから、そんな金融庁の言葉は、聞き流しています。

   非常にシビアなことを言えば、会社でやりたいこと、やりがいのあること、やりがいのあることをやって高給をもらえるのはごく一部のエリートだけです。

   大半の社員は、彼らのために安い給料で時間外労働を強いられ、消耗品扱いされているわけです。いわば「会社内格差」ですね。

   私は、あなたの才能がどの程度あるかわかりませんから、なんとも言いようがありません。冷たい言い方ですが、「会社内格差」の現実を見極め、その格差の頂点に上る努力、我慢をするか、それとも転職して「永遠の夢さがし」をするか――。それは、あなた次第です。

(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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