人手不足の運送業者に朗報!? 改正道路交通法で「準中型免許」新設

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   ヤマト運輸が、アマゾンの当日配送サービスの受託から撤退する方針を固めた、というニュースは記憶に新しいと思います。消費者にとっては便利であった反面、運送業者は過酷な業務を強いられることになり、ついに限界がきたということでしょう。

   

   しかし、インターネットの普及で今は生活とネット通販が切っても切れない関係になっていることは紛れもない事実だと思います。今回は、そんな運送業と密接にかかわる「道路交通法」の改正によって新設された「準中型免許」について解説しましょう。

  • 「準中型免許」が新設された!
    「準中型免許」が新設された!

事例=2013年に中型免許を取得、取り直す必要はあるの?

   僕は、運送業者で主にドライバーとして働いています。社長と奥さんを中心にしたとても小さな会社です。そんな会社に半年ほど前から、社長の息子さんがアルバイトとして時々、事務作業などを手伝いにきてくれるようになりました。高校を卒業したら中型免許を取りこの会社に入社し、運送をメインに働いていく予定だということでした。

   「18歳では中型免許は取れないんじゃないんですか」と社長に聞いたところ、「新しい中型免許ができるから、小さいトラックなら大丈夫」と言っており、免許が変わるなんて初耳だったので驚きました。

   事務所には8トントラックが1台と、4トントラックが2台あり、用途に合わせて使い分けています。僕は2013年に中型免許を取り、8トントラックを運転することが多いのですが、免許が変わるということは、僕は8トンを運転できなくなるのでしょうか? その場合、新たに取得し直さなければいけないのですか?

弁護士回答=運転できるクルマの範囲が変わった

   道路交通法が改正され、2017年3月12日から、普通免許でも中型免許でもない「準中型免許」が新設されました。

   これまでは、普通免許だと車両の総重量「5トン未満」、中型免許だと「11トン未満」を運転することが可能で、「11トン以上」を運転するには大型免許が必要でした。また、普通免許を取得できる年齢は18歳以上、中型免許は20歳以上で2年以上の運転経験、大型免許は21歳以上で3年以上の運転経験が必要でした。

   しかし、「準中型免許」が新設されたことで、この区分が一部変わりました。新しい法律では、普通免許は、車両の総重量「3.5トン未満」、準中型免許は「7.5トン未満」、中型免許は「11トン未満」を運転することが可能で、「11トン以上」を運転するには大型免許が必要です。

   また、普通免許を取得できる年齢は18歳以上、準中型免許は18歳以上、中型免許は20歳以上で2年以上の運転経験、大型免許は21歳以上で3年以上の運転経験が必要です。

   つまり、大きな変更点としては、これまでの普通免許は「5トン未満」を運転できましたが「3トン未満」しか運転できなくなりました。その代わり、「7.5トン未満」までを運転できる「準中型免許」が新設され、この免許は18歳以上から取得できるようにしたのです。

   社長の息子さんはこの「準中型免許」を取得する予定なのだと思われます。ただし、会社で所有している8トントラックは準中型免許では運転することはできません。準中型免許で7.5トン以上の自動車を運転した場合は「無免許運転」となり、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。(道路交通法第117条の2の2)

   また、運転した本人だけでなく、無免許であることを知りながら車の運転を依頼した人に対しても罰則がありますので、注意が必要です。

中型免許で、8トントラックは運転できる

   結論を述べますと、相談者は中型免許をすでに所有しているので、新しい制度になっても、今までと同じように8トントラック、4トントラックともに運転できます。

   2017年3月12日に施行された「準中型免許」制度ですが、制度が改定されてもそれまで持っていた免許の範囲はなくならず、今まで乗ることができた車両総重量の範囲のクルマはそのまま乗ることができます。逆に、免許制度が変わって新たに乗車可能な範囲が広がることもありません。

   相談者は、旧制度で「11トン未満」を運転できる中型免許を所有しているので、新制度になっても引き続き「11トン未満」を運転できます。

   そもそも準中型免許の新設という制度変更は、「高校新卒雇用者が中型トラックを運転できるようにして雇用を促進する」ということが一つの狙いであるようです。これまでの制度では、中型免許は20歳以上でかつ運転経験が2年以上でなければ取得することができなかったため、高卒の新入社員は、中型自動車を運転することができませんでした。

   この部分の改善を狙った制度ですので、すでに免許を取得している人には基本的に影響がありません。

   なお、2007年の改正までは、免許には普通と大型しかありませんでした。改正後は中型免許が追加され、さらに今回の改正で「準中型免許」が追加されました。今後も社会のニーズに応じて改正があると思いますので、道交法の法改正には気を付けて頂ければと思います。

   ポイント3点

●今回の改正により、新たに普通免許を取得した人は「3トン未満」しか運転できなくなり、18歳以上から取得できて「7.5トン未満」までを運転できる「準中型免許」が新設された

●「準中型免許」で7.5トン以上の自動車を運転した場合は「無免許運転」となり、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる。また、運転した本人だけでなく、無免許であることを知りながらクルマの運転を依頼した人に対しても罰則がある

●制度が改定されてもそれまで持っていた免許の範囲はなくならず、今まで乗れていた車両総重量の範囲のクルマはそのまま乗ることができる

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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