2019年 12月 6日 (金)

「ブラック企業」になるしかない 中小企業の悲哀を聞いてくれ!

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   厚生労働省が、長時間労働や賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで送検された企業334社を、いわゆる「ブラック企業」として実名を公表しました。 2016年に世間を騒がせた電通をはじめ、大手関連の企業名もチラホラ見受けられましたが、社名をインターネットで検索すると、その大半は明らかに中小企業とわかる先ばかりでした。

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    下請けいじめで、中小企業に「しわ寄せブラック」

突如、ブラック企業に陥れられる

   このニュース世間的にはさほど大きな話題にはなっていなかったのですが、一部の中小企業経営者には衝撃的に受け止めている人もいます。大手電機メーカーH社の下請け受注をメインとして、機械部品製造を長年手がけているT社のY社長もそんな一人です。

「実名を公表された中小企業はかわいそうだなと思いますよ。当然自社に責任の大半があるケースもあるでしょうが、そうでない事情もあるのじゃないかとね。名前を出されたら、採用だけでなく本業にも影響が出ます。本当にその企業が悪いのか、裏事情も含めて厚生労働省は十分な調査をしたうえでの実名公表なのかと、そこがひっかかります」

   中小企業でT社のような大手下請けは、国内に星の数ほど存在します。Y社長は二代目ですが、先代の時代から40年以上にわたり大手H社の仕事を継続受注できているのには、それなりの理由があると言います。

「うちが長年H社から仕事をいただけているのは、40年以上、絶対服従で来ているからに他なりません。彼らから見たらうちなんて吹けば飛ぶような存在です。言うことを聞かないなら、取って代わる企業なんて掃いて捨てるほどありますから。我々はこの間ずーっと、切られないように切られないように、ビクビクしながらやってきているのですよ」

Y社長はやや悲しい目をしながら、続けます。

「言われたものを言われた通りの仕様に作る、ミスなく作る、言われた価格で作る。これは当たり前。問題なのは、言われた納期なのですよ。大手さんはいろいろな事情があって、突然仕様が変わったり、価格値下げを申し渡されたりしますが、これは先方と折衝しながら落としどころを決めることもできるわけです。しかし、突然の納期の変更。こればっかりは先方の言うことを聞くしかないのです。断れば即他社に仕事が流れてしまいますから」

   納期変更は短縮が常であり、ひどい時にはその期限が当初の半分に短縮されることもあるとか。そうなると当然、製造現場はフル稼働で対応せざるを得なくなります。

   すなわち、昼夜の区別なく24時間体制で製造ラインを動かすことになり、従業員も交代で所定労働時間を大幅に超過した勤務にならざるを得ないことも。要するに、自社が大手企業の勝手な都合による指示で、突如、ブラックな就労環境に陥れられることにもなるわけなのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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