2019年 12月 15日 (日)

気まぐれ消費者の「ワナ」! 通販洗剤のブレーク社長も陥った錯覚

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その気にさせないで!

   似たような話は、飲食店経営などでもあります。銀行時代のことです。神奈川県でイタリアンレストランを始めたH社長。本業は先代から引き継いだ住宅建材卸ですが、どうしても長年の夢だった飲食店経営に乗り出したいと、周囲の反対を押し切って始めたのです。 立ち上がりは投資額も大きく赤字続きだったものの、2年ほどして折からのイタリアンブームがあり急激に売り上げを伸ばして、一躍行列ができる繁盛店になりました。

   「これはイケる!」とばかりに、銀行借入で2号店、3号店を相次いでオープン。ところが、ブームの沈静化とともに売り上げは下火になり、結局銀行の指導で店はすべて閉店して借金だけが残りました。堅実経営の本業での蓄えがなければ、確実に倒産していたでしょう。

   その当時、知り合いの老舗繁盛店を経営するベテラン飲食店主にこの話をすると、こんなことを教えてくれました。

「そんなのは日常茶飯事です。消費者相手の商売というのは、反応が目の前で見える分だけその気になりやすい。ちょっと繁盛するとすぐイイ気になって、まだまだイケると2店目、3店目を出したくなるのです。でも早晩消費者に飽きられる。消費者の気まぐれを実力と勘違いしてしまうのです。1店舗なら乗り切れるピンチも複数店舗では無理。その方みたいに別に本業があればともかく、拡大して飽きられたら大抵はジ・エンドです」

消費者向け商売におけるビジネス拡大の難しさを、如実に物語るお話でした。

   さて、先の洗剤販売のM社長、消費者向け商売の怖さを知り、その後は安定的なビジネスに方向転換して堅実に稼いでいるそうです。

「本当に怖い思いをしてからはどうしたものかと考えて、一たん店じまいをして消費者向け以外の洗剤の販売ルートを模索しました。そうこうするうちに、歯科医師が求めている抗菌洗剤にうちの商品が合致することがわかり、歯科医師向け専門仲介業者ルートで全国の歯科医院向けに販売をしてもらうことになったのです。これは長期安定ビジネスです。消費者向けビジネスは本当に難しい。これが私の結論です」

   若手起業家のKさんとは来週会う予定です。BtoCビジネスでの事業拡大が、すべてうまくいかないわけではりませんが、これらの話を通じてBtoCビジネスの魅力とその裏にある難しさを、十分にお伝えしようと思っています。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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