もしかして、夢見てます? 中途半端じゃ務まらないフリーのお仕事(江上剛)

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   最近、「フリーランス」という新しい働き方を選択する人が増えているという記事を読みました。なんでも「働き方改革」の一環で、政府も後押ししているとありました。フリーランスの仕事というと、文筆家や音楽家、デザイナー、カメラマン、アナウンサーなどが思いつきます。江上さんも作家さんです。わたしも現在は中小の出版社に勤務しているのですが、ゆくゆくは、と思っています。そこで、まずはライターとして独立しようかと。ただ一方で、知り合いの先輩ライター氏によると、下請けや孫請けの仕事ばかりで収入が安定しないとこぼしています。そんな話を聞くと、踏ん切りがつきません。

   踏ん切りがつかないのなら、フリーランスになることを辞めればいいだけじゃないですか。

  • 夢ではお腹いっぱいになりませんよ!
    夢ではお腹いっぱいになりませんよ!

ネット全盛時代、原稿料が安いんです

   フリーランスなんて、仕事がなければ単なる失業者ですよ。私だって作家と名乗っていますが、仕事がなければただの無職のおっさんですよ。

   あなたは中小の出版社に勤務されているようですね。きっと編集者なのでしょうね。それなのにフリーランスのライターの苦労をご存知ないなんて...... ちょっと甘く見ているのではないですか。


   今、紙の媒体はどんどんなくなっています。優秀なライターをたくさん知っていますが、コンスタントに仕事があるのはごく一部です。

   他の人は、企業の広報の仕事をしたり、書きたくもない宣伝臭のぷんぷんするよいしょ記事を書いたり、有名社長の自慢話のゴーストライターなどをしていますよ。

   あるフリーのライターなどは、年収が少ないので、税金を払っていないからなんとか暮らしていけると言っていました。

   言うまでもなく、現在はインターネット全盛の時代です。ネットにはさまざまなジャンルの、また真偽のほどが定かではない記事がたくさんあります。芸能人や、ふつうの人が書いているブログもありますし、情報発信ということではツイッターもあります。そういったネットに記事を書いても、いくらにもならないんですよ。

   私もこのJ‐CASTニュースに書いていて、こんなことをいうのもなんですが、フリーランスのライターで、ネットに書いて暮らしていける人はいません。原稿料が安いんです。何とかしてくれって悲鳴を上げていますよ。

   紙媒体が全盛の頃は、取材費なども豊富に支出されていました。しかし、今はそんなものありません。

フリーランスの道は壮絶

   あるフリーランスのライターが、私に嘆いたことがあります。

「今は、プロのライターが書かなくても、素人の専門家が無料でいっぱい原稿を書いてくれる。それが原因でプロのライターの原稿料が上がらない」

   これが本当かどうかは知りませんが、紙媒体の世界とネットではまったく違うことは確かのようです。

   そして紙媒体はフリーランスのライターを育てる余裕がかつてはあったと思いますが、ネットの世界は、そうした育てるという概念はないようにも見えます。

   いずれにしてもフリーランスのライターが非常に厳しいという現実があります。これはこの先も変わらないでしょう。

   フリーランスと言えば聞こえがいいですが、失業者と同義だと思っていれば、あなたの選択がリスクが大きいと分かるのではないでしょうか。

   そしてまず第一に、あなたが何を書きたいかということでしょうね。専門分野はあるのですか?エッセイを書いてもだれも読んでくれませんよ。それは編集者であるあなたが一番ご存知でしょう。

   どうしてフリーランスのライターになりたいのか。よく自分自身を見つめてください。

   私の知人で大手テレビ会社を辞めてフリーランスのライターになったのがいます。

   彼は年収2000万円以上の立場を捨て、どうしても書きたいものがあるからとフリーランスになりました。でも、今はまったくの無収入です。彼の選択が失敗か、否かは、まだ将来を見ないと分かりません。しかし、それほど壮絶なものだということを少し理解してください。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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