「助けて!」と叫びなさい 降ってくる仕事は頑張ったらダメ(江上剛)

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   入社して、まだ2年です。ところが、この半年間に同じ部署の先輩が3人も辞めたり、異動したりして、私はそういった先輩方の仕事を引き継ぐことになりました。自分が与えられた仕事にようやく慣れてきたかと思った矢先のことで、正直、いくつもの仕事を任せられてもこなしていく自信がありません。毎日、覚えることばかりでいっぱいいっぱいです。上司に相談しても、人事のことなのでなかなか対応してもらえませんし、「○○(先輩)はできた」など、ガンバレと言います。どうすればいいでしょう。

   アナタ! 今のままでは電通事件のように過労死してしまいますよ。

  • 「助けて!」と叫ぶ
    「助けて!」と叫ぶ

会社はアナタに甘えてる!

   そんなになんでもかんでも、仕事を引き受けていたら、毎日のように残業が続いているのではないですか。

   それでも、根を上げたら、上司からの評価が下がってしまう。だから、嫌々でも引き受けてしまう。しかも、きっとアナタは優秀なのでしょう。押しつけられた仕事を頑張って仕上げてしまう。

   一方、上司はそんなアナタが、なまじ仕事を引き受けてくれるものだから、どんどんアナタに甘えて仕事を頼んでくる。こんな循環ですね。

   ダメですよ。本当にこんなことをしていたら、心も身体も病んで、結局、会社を辞めることになってしまうでしょう。

   会社の労働組合に相談するのが一番いいのでしょうが、労組もない場合は、上司の評価など気にせずに、悲鳴を上げなさい。助けを求めなさい。

   直ちに、です。

   アナタが身体を崩しても、過労死しても、会社は何もしてくれませんし、誰も助けてくれませんよ。

命あってのものだね

   私は、「企業戦士」(講談社文庫)を書いた際、過労死裁判の支援を少しやりました。だから、わかるのです。

   電通事件では、社長が過ちを素直に公判で認めましたが、会社があのような長時間残業による労働基準法違反や過労死の裁判で、簡単に非を認めることなど、まずありません。あれは「電通」という、誰もが知っている大手企業だったゆえにメディアが競うように報道したことで、電通がいかにヒドイ会社であるかが明るみになっただけなのです。

   一般に、会社としては過労死を引き起こしたことは不名誉ですし、裁判に敗訴すると、訴えた本人のみならず、他の多くの労働者に対しても未払いの残業代を支払わねばなりませんから、膨大な損失になります。そのため、会社は徹底抗戦します。

   たとえば、あなたは仕事ができなかった。毎日早く帰宅していたなどと、ウソを平気で集めます。なかには、愛人がいたなどと名誉を著しく毀損する場合もあるほどなんです。

   会社で仲のよかった同僚でさえ、「あなたは無能だった」などと平気で証言します。それが自分たちの身を守るためだと、サラリーマンであればとっさにそう思ってしまうのかもしれません。悲しいですね。

   あなたに向かって「〇〇先輩はできた」などという上司は最低ですよ。

   どうしても上司が、あなたの仕事を改善してくれないなら、さっさと辞表を出すべきです。

   命あってのものだねですよ。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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