もうイヤだ! 部下を虐めるゴマすり上司 ノイローゼ寸前から身を守る方法は?(江上剛)

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   入社2年目です。異動で部署が変わったのですが、新しい課長の指示がよくわかりません。というのも、「あれをしろ」「売り上げを伸ばせ」と要求してくるのですが、具体的にどうやればいいのかと聞くと、「それを考えるのが、オマエの仕事だ!」と突き放されます。たしかにそうなのでしょうが、なにか漠然と言われているような感じがあって、どこまでが指示で、どれが叱咤激励の類なのか、はっきりしないのです。こんないい加減な支持の仕方ってありますか。私が忖度して、仕事を進めればいいということなのでしょうか。

   こういう上司が一番難しいね。どうやって扱っていいか、本当に悩む。

  • こんな上司はどこにでもいる!
    こんな上司はどこにでもいる!

指示に具体性がないのは「自分でやり方がわからないから」!?

   というのは、指示に具体性がまったくないわけでしょう? 「それを考えるのがお前の仕事だ」と言われても、「一緒に考えるのがお前の仕事だろう!」と言い返したいよね。

   だけど言い返したら、何を生意気言うんだと、スマホで頭を殴られかねない(暴力沙汰を起して、辞めてくれたほうが清々するけどね)。

   でも、こういう上司は本当に多い。こんな上司の下で、仕事をしてもいいことなんかない。

   もしミスを起したりしたら、「聞いてないよ!」と怒鳴りだす。反対に成果が上がったら「私が指導しました」と自分の成果を誇って、部長に報告するだろう。あなたの頑張りなんて完全に無視!

   ああ、嫌になっちゃうよね。

   私もこんな課長に仕えたことがあった。あなたよりもっとひどかった。

   ケチだし、尊大だし、部下を虐めるし、怒りだしたら止まらなくて部下を追い詰めるしね。

   そのくせ仕事はまったくできない。頑張ろう、目標達成しよう、あれができてない、これができていない、お前、なにやってるんだ......

   指示に具体性ゼロ。だってそんなこと彼自身がやったことがない。コネとゴマすりだけで課長になったのだからね。でもエリート意識だけはたっぷり持っていた。

   まともな仕事をしてきていないから、自分でも具体的にどうやったらいいかわからない。だから具体的な指示なんかできるはずがない。どうしようもない課長だった。

   今、思い出しても腹が立つほどだ。

怒られ過ぎてノイローゼになる

   課員のみんなは完全にやる気をなくしてしまった。目は死んでしまっている。

   若い課員なんかは怒られ過ぎて、ノイローゼ寸前。

   私は、課長の次のポスト。いわゆる次席。課長の立場にたったり、課員の立場にたったり、毎日悩むことが多かった。

   課の成績は落ちる一方だ。課長は、ただ怒鳴るだけ。私は本当に悩んだ。

   ある夜、狭い社宅で家族三人、子供を真ん中にして川の字になって眠っていた。

   夢の中で課長と言い争いをし始めた。

「課長、あなたのやり方ではダメです」

   私は、思い切り机を叩いた。その時、「はっ」と思って目が覚めた。私は、恐ろしさに心臓が止まるかと思った。冷や汗がどっと出た。からだに震えが来て、止まらない。

   私の拳の下に、幼い息子の寝顔があったのだ。すやすやと幸せそうな微笑を浮かべていた。もし机を叩くつもりで拳を振り下ろしていたら、息子の顔を潰していたかもしれない。

   私は、その夜、まんじりともせず考えた。そしてこのままだと自分が壊れると思い、決断した。

   翌日の仕事終わりに、明かりを消した食堂の片隅に課長を呼び出した。

   課長は、いったいどうしたのだと不安げな様子で私の前に座った。

   私は課長を正面から見据えて「あなたは私の人事評価をする人です。ですから私は覚悟を決めて申し上げます。課長も覚悟をして聞いてください」と言った。

味方を増やして、自分が壊れないようにする

   課長は、ますます不安そうな表情になった。

「あなたの仕事のやり方ではだれも付いてきません」

   私は、一気に日ごろ思っていることをほとばしるように吐き出した。部下の指導の仕方、仕事の指示の仕方など、思う存分言い切った。

   課長は、驚き、「すまなかった」と言った。

   その場は、それで終わった。しかし、課長は変わらなかった。あの場面で、私の勢いに押されて謝っただけだった。

   しかし、私が変わった。その日から、課長の指示がおかしかったら、おかしいと言った。部下を叱りだしたら、止めさせた。私は課長と戦った......

   課長は人事評価で私に最低点をつけたが、副支店長や支店長が私の味方になった。課長がつけた人事評価点は訂正させられた。

   副支店長は、課長に「人事評価は部下を評価するものではない。自分が評価されているのだ」と言ったそうだ。

   課長は、課員からの支持を失い、失意のうちに転勤していった。

   これが私の経験の顛末です。

   どうしようもない上司に仕えた時は、自分が壊れないようにするしかない。

   私は、たまたま副支店長や支店長が味方になってくれたから、課長と戦うことができたが、なかなかそうはいかない。

   しかし味方を増やすことは重要だ。味方がいれば、あなたもバカな上司と戦うことができるだろう。

   とにかく自分を守って欲しい。それが第一だ。バカな上司から身を守るのもサラリーマンの処世術だから。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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