2018年 12月 12日 (水)

「産休トラブル考」(後編)「産休さんの仕事やりたくない」VS「精一杯、制度使って休みます」

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   最近、インターネットでよく話題になる「産休トラブル」。その後編では、産休女性をサポートする側と産休を取得する側の、双方の投稿がきっかけで起こった「ネット論争」を取りあげる。

   「サポートするのが嫌でたまらない」という子どものいない女性、「図々しいと陰口を言われた」という妊娠女性。双方の「ホンネ」のぶつかり合いと言えそうだ。

  • 気持ちよく産休・育休から復帰するには……
    気持ちよく産休・育休から復帰するには……

「なんであいつらの私生活充実のために犠牲にならにゃならんの」

   ひとつ目は、40代の出産経験がない未婚女性から、女性向けサイト「発言小町」(2017年6月16日付)に掲載された「産休さんの仕事やりたくない」という投稿だ。

「はっきり言って迷惑です。仕事をかぶって頑張っても査定には影響せず。復帰してきても時短勤務。いない時間は私がヘルプ。査定には影響せず。今回、第2子ご懐妊とのこと。満面の笑みで『おめでとう』と言いました。彼女に非がないのはわかっています。問題は会社の体制。チームで助け合う。子は宝。わかっています。でも今から嫌でたまらないんです」

   投稿には、同じように独身や子どものいない女性からの共感の声が多く寄せられた。

「これは、妙齢の独身か子供のいない既婚者にしかわからない気持ちです。男にもわからない。既婚子持ちは『お互い様』と言いますが、『やってらんない』っていうのが本音です。『なんであいつらの私生活充実のために、犠牲にならにゃならんのか』と腹立たしく思うのは当然です」

   一方、批判的な声も多かった。

「そんなに嫌なら転職したら? そうできないのであれば、それは産休さんのせいじゃなく、あなた自身の実力のせい」
「迷惑だろうと思いますが、会社にいる人に仕事が回ってくるのは当然。面倒な結婚も大変な育児もしたくない、仕事も自分の分だけにしたい、は今の日本じゃとおりませんよ」

   さらに、「社会問題だから政府が何とかすべき」という意見も。

「産休時の仕事を誰がやるか、もう企業だけに押し付ける問題ではありません。税金を投入したり、準公務員扱いで国が人員を用意して適宜派遣できる体制を作ったりするとか、国家レベルでやらないと、しわ寄せは企業の中で立場の弱い人に集中します」

   二つ目は産休を取る20代後半の女性から、発言小町(2017年5月29日付)に掲載された「同僚に図々しいと言われた」という投稿だ。

「第2子出産を控えています。同僚が陰で、私のことを『図々しい』と言っているのを聞きました。理由は、第1子の産休育休で2年以上休んだこと、復帰後も時短なのに子供の病気でよく休むこと、休んだ後に上司にしかお詫びやお礼の言葉がないこと。職場の人に迷惑をかけていると思いますが、直接業務に関係ない人にまでお礼を言う必要はないと思います。休みも子供との時間を大切にしたいから、制度は精一杯利用させてもらいます」

   この投稿には、「猛反発」といっていいほど批判的な声が多かった。

「あなたのような人がいるから働く母親の肩身が狭くなるのです。私も育児しながらですが、そんな休み方はしません。子どもとの時間を大切にしたいなら、今すぐ専業主婦になってください」
「制度をフルに使うものいいけど、同僚に対する気遣いと謙虚さが足りないよ。自分の仕事を代わってもらったら、お礼は言わないとね」
「子どもが元気な時には早出や残業をして他の人を手伝うとか、迷惑をかけた分を補填する努力をしなさい。そう考えると、子持ちの女性だけでチームを作り、その中で仕事を回すというのが理にかなっています」

   この2つの投稿は、産休を取る側とサポートする側双方のトラブルの問題点をかなりホンネで表わしているようにみえる。J‐CAST会社ウォッチ編集部では、投稿についてどう思うか、何人かの働く女性を取材した。

   30代(2児のママ・元大手印刷会社営業・退職)のAさんはこう語った。

「結局は産休を取る人の態度です。陰口を言われる人は、他にも嫌われるところがある人なのでしょう。『この人の為なら自分が負担でも仕事引き継ぐ!』なんて神様みたいな人はいませんが、『仕方ないわね』と思ってもらえるかどうかは、その人の仕事の仕方や人への対応だと思います。女って半分くらい気分の生き物だから(笑)。『時短なんで!』『子供いるんで!』を盾にして、やりたくない仕事を避ける人はやっぱりフォローしてもらえません」

   一方、子どもがいない女性はどうか。40代(既婚子なし・派遣社員)のBさんは微妙な心理状態をこう語った。

「産休女性に優しくありたいという心はありますが、現場ではやはり歪みは出ています。子どもがいるからしょうがない、だから責任なく逃げられるという気持ちの女性が多いのは事実です。しかも、会社の体制は言葉では優しいが、現実を分かっていない男社会。だから制度が整わない。産休女性に配慮を持つことは、余裕がないとできないですよ」

成果主義の外資系は、時短ママを優遇しない?

   制度の不十分さについて、40代(1児のママ・会社員)のCさんはこう語る。

「私の会社では、時短で仕事量を減らしてもらい申し訳ないと思っている側と、仕事を多く振られて残業が多い側の間で、お互いに不満が募っています。営業職では、時短組はメイン担当から外され、モチベーションが上がらず、事務職に移る人も多い。中には嫌みを言われたあげく、仕事も暇なので、残業の多い人を手伝おうとしても、『やらなくていい』と言われ、派遣になることを進められた人もいます。パワハラですね」

   一方、制度を充実させ、せっかく産休・育休を取らせたのに復帰してこない女性が多いと嘆く女性管理職もいる。50代(2児のママ・団体職員管理職)のDさんが語る。

「最近は制度が充実し、3歳になるまで育休が取れます。育児に専念できるのはいいけど、3年も休んでいると、休業中に次の子を妊娠したり、復帰した途端に妊娠したりして、復帰を待っている同僚をがっかりさせることもあります。うちの職場では、育休ママを孤立させないように、先輩ママとの交流の場を設けたりして気を遣っています。それでも、復帰しないまま辞めてしまう人が多い。そこまでしても辞められると、何のための産休・育休や同僚のサポートなのかと、力が抜けます」

   ところで、外資系の会社ではこういった「産休トラブル」はほとんどないという。30代(2児のママ・外資系金融)のEさんはこう説明する。

「ここにある口コミみたいな問題は、うちの会社には正直ありません。外資だから成果主義の面が強いので、ある意味とてもフェアです。時短ママさんでも成果を出さない人は排除されているし、昇給もしませんから」

   働くママさんには厳しいが、いっそスッキリしているとも言えそうだ。

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