「原野商法は二度だます」! 昔「将来値上がり」、今「高値で買い取り」
原野の「買い取り」で、所有者が利益を得た事例は1件もない
それにしても、どうしてこうも簡単にだまされるのだろうか――。国民生活センターではまず、「(悪徳業者は)契約の重要な部分でウソをつく。口で説明する売却額と契約書に記載する売却額が異なっている。また、購入費用はあとで返す、消費者が購入した別の原野はあとで買い戻すと説明する事例もあるが、実際に送金や買い戻しが行なわれたケースは1件もない。非常に悪質です」と指摘する。
消費者がちゃんと契約書を確認しないのがよくないのだが、それは「相続税などの税金対策のときに、子どもに迷惑をかけたくないという気持ちに、業者が付け込んでいることもあります」という。
被害を防ぐため、同センターでは原野の所有者に次のようなアドバイスをしている。
(1)「土地を買い取る」「お金はあとで返す」と言われてもキッパリ断ること。
(2)宅地建物取引業の免許を持っている業者でも、悪質な事業を行なっている者があり、安易に信用しない。そもそも、原野や山林は宅地ではないため、基本的には宅地建物取引法は適用されない。だから、「宅地建物取引法の○条に基づき...」といった書面で説明されたら、宅地取引と誤認させる意図があると注意しよう。
(3)原野の管理費など根拠がはっきりしない請求には、お金を払わず毅然と対応する。ただし、裁判所から「特別送達」が送られてきた場合は、注意が必要。放置せず、消費生活センターなどに相談する。
(4)業者に一度支払ったお金を取り戻すのは非常に困難。少しでもおかしいと思ったら、絶対にお金を払わず、消費生活センターなどに相談する。