2018年2月4日、米フェイスブックが設立14周年を迎えました。19歳で起業して、今では世界屈指の大富豪になったマーク・ザッカーバーグ氏が設立記念日に発した「ある告白」が話題になっています。またたく間に世界中から「いいね!」が集まったその内容とは......ザッカーバーグ氏は人を見る目がなかった?まだ、米ハーバード大学の学生だったザッカーバーグ氏が学生寮の一室でフェイスブック社を立ち上げたとき、「僕は、会社を経営することもインターネットサービスのことも何も知らなかった」そうです。その後、たった数年のうちに世界を席巻するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を築き上げた同氏が、14年間を振り返ってこう「告白」しました。〈今週のニュースな英語〉はこれ!I'vemadealmosteverymistakeyoucanimagine.(僕は、ありとあらゆる失敗を犯してきた)ザッカーバーグ氏が犯した失敗とは、さぞかしセンセーショナルな大惨事かと思って読み進めてみたら意外や意外、「誰にでもあるある」的な内容でした。「いくつもの技術的エラーを犯したり、悪い取引を行ったり、間違った人を信用してしまったり、才能がある人を登用しなかったり、重要なトレンドを見落としたり、次々と製品を投入しては失敗したり」と、次々と過去の失敗を「告白」したのですが、ザッカーバーグ氏ほどの成功者でも人を見る目がなかったのかと思うと、妙に親しみがわいてきます。高級ブランド品や贅沢な暮らしには目もくれず、TシャツとGパン姿がトレードマークのザッカーバーグ氏らしい、等身大の「告白」でした。裏を返すと、華々しいビッグビジネスを支える根幹は、適材適所の人材を登用したり、真っ当な取引をしたり、トレンドをキャッチするといった地道な作業の積み重ねだった、ということなのでしょう。ザッカーバーグ氏がホントに伝えたかったことザッカーバーグ氏のメッセージで私が「やられた!」と感心をしたのは、「失敗の告白」に続く次の一文です。失敗を重ねてたどり着いたであろう、彼の経営哲学が伝わってきます。Thereasonourcommunityexiststodayisnotbecauseweavoidedmistakes.It'sbecausewebelievewhatwe'redoingmattersenoughtokeeptrying......knowingfullwellthatwe'llfailagainandagain,butthatit'stheonlywaytomakeprogress.(フェイスブック社が今日あるのは、我々が失敗を避けてきたからではない。何度失敗を重ねても、失敗こそが成長への唯一の方法だということ忘れずに、今やっていることを続ける価値があると信じているからだ)おそらく、ザッカーバーグ氏が伝えたかったのは、このメッセージだったのでしょう。失敗を恐れずに、失敗することを前提に目の前のことに全力で取り組む......う~ん、トップがここまで覚悟を定めているからこそ会社が成長するのですね。間違っても、「はしご外し」や「責任のなすりつけ合い」といった醜い争いは存在しないのでしょう。それにしても、「失敗の告白」をして関心を引きつけた後に、秀逸なコメントで引き締めるとは、さすがのワザが効いています。 ザッカーバーグ氏は、今後も試行錯誤を繰り返しながら「人々をつなげて世界を変える」という夢に向かって前進するのでしょう。なんだか、私も一緒に未来をつくっていきたいという気持ちにさせられました。それでは、〈今週のニュースな英語〉をビジネスの場面で使ってみましょう。「I'vemadealmosteverymistakeyoucanimagine」(僕は、ありとあらゆる失敗を犯してきた)「almostevery......onecanimagine」という表現をビジネスの場面で応用してみましょう。I'vedonealmosteverythingIcanimagine.(想定できることはやり尽くしました)これは、ポジティブな場面にも言い訳にも使える便利な表現です。成果を報告したり、ほめられたりした時は、「I'vedonealmosteverythingIcanimagine」(ええ、できる限りのことをやりましたから!)と、ドヤ顔で使うといいでしょう。逆に、注意をされたり謝ったりする時は、同じフレーズでも「I'vedonealmosteverythingIcanimagine」(いろいろやってみたんですけど......ダメでした)というニュアンスで使えます。できるだけしんみりとした調子で言うと効果的でしょう(笑)。【新連載によせて】身近にある、「生きた英語」を学びませんか――。あこがれのセレブのことばやニュース現場の英語から、注目のことばをピックアップ。「ビジネスに使える ニュースな英語」では教科書やテキストには載っていない「生きた英語」で、楽しみながらリアルな表現をマスターできます。ビジネスの場面で、すぐに使える英語表現や、知っているとトクする話題をゲットしていきましょう! (井津川倫子)
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