2018年 11月 17日 (土)

日本人が陥りやすい投資の罠 「負ける人」はこんな人(小田切尚登)

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   投資家は利益の最大化を求めて日々頑張っている。しかし、人間はコンピューターではないので、常に合理的な意思決定をしているわけではなく、無意識のうちにいろいろと非合理的なことをしていることが多い。

   今回は、投資の分野でわれわれが最も陥りやすい問題をご紹介したいと思う。

  • 売りどき、買いどきに悩む……
    売りどき、買いどきに悩む……

「損失を過度におそれる」

   日本人は、一般的にアメリカ人に比べて株式投資に消極的だと言われる。「日本人はリスクについて慎重であるから」などと言われたりするが、要は失敗を経験したくないということではないか。

   ノーベル賞を受賞した心理学者カーネマンによると、人が損した時に感じる精神的なショックは、儲けた時に感じる喜びの倍にもなるという。そうであれば損だけはしたくない、と思うのも人情といえる。

   しかし、損失をとにかく避けるということばかりを考えて投資をすることには問題が多い。価格変動の小さい投資ばかりに偏ると、うまみのある投資はできなくなる。「とにかく損したくない」というスタンスの人には、ビットコインとか成長株などを長期間保有して大きく儲ける、というようなことは不可能であろう。

   それから、投資をするときは、頻繁に損益をチェックして一喜一憂を繰り返す、というようなやり方はやめたほうがいい。損したことばかりが記憶に焼き付いて、ネガティブな感情ばかりが増幅されてしまうからだ。投資対象からそれなりに距離を置いて、客観的に結果を判断できる姿勢を取るよう心がけるべきである。

「株価上昇ですぐに売るくせに、下落してもなかなか売らない」

   自分の持っている株の価格が上がると、人はうれしい半面「この儲けを早く確定しておかないと、いつ下がりはじめて元の木阿弥にならないとも限らない」などと考えるようになる。

   すると、不安にかられて、あわてて売ってしまい、将来もっと上がっていくチャンスをみすみす逃すことになる。

   逆に株価が下がると、「何とか復活してほしい」という感情が支配してしまう。そこで「塩漬け」などと称して「見てみないふりをする」という行動に出る個人投資家が少なくない。

   損した状態で売ってしまうと損が確定しまい、自分の負けとなるので、それを認めたくないのだ。

   しかし、本来は「傷口は浅いところで止めておかないといけない」場合も多い。失敗と向き合うことはつらいが、本当にダメな株なら早く売るべきなのだ。

「過去の経緯に引きずられてしまう」

   読者の中には、過去数年の上げ相場で大きく儲かった方がいるかもしれない。仮にアナタが100万円儲かったとしてみよう。すると太っ腹になり、「これから10万円や20万円下がってもまだまだ大きい儲けが残るから、全然OK」などと考えるかもしれない。しかし、それは間違いだ。

   過去は過去、もう終わった話である。いま100万円の値がついている株は、過去に1000万円だったのが下がった結果かもしれないし、10万円だったのが上がった結果かもしれないが、どちらにしても今の自分には過去の経緯は関係がない。

   100万円の価値が現在あるというだけだ。今後上がると思うのなら保有すればいいし、下がると思えば売る。それだけのことだ。

   以前に1000万円した株が100万円まで下がった場合は、「この株はまた大きく上がってしかるべき」などと思う人がいるかもしれないが、その考えには何も根拠がない。投資家は過去を忘れて、将来のみを考えるべきである。

「現状を漫然と続けてしまう」

   多くの日本の個人投資家の最大の問題点は「何もしない」ということではないだろうか。最初に投資をした状態のまま、長い間何も売らず・何も買わず、ほったらかしている人は少なくないと思われる。

   「忙しいから」などと言うが、自分の財産そのものの話なのだから、たいていの事柄よりも優先順位が高いはず。投資戦略は、周囲の環境が刻一刻変わっていくのに応じて変わっていくべきだ。

   また、いつも似たような取引を繰り返している人も多い。「自分は日本の大企業の株式を売買するだけ」と、決めてかかるのが悪いわけでもないが、それが本当に自分にとって最善の道なのかどうかは再検討するに値する。

   世界には多種多様な投資対象がある。たとえば、外国株ですばらしいパフォーマンスを示すものはたくさんあるし、不動産投資信託(REIT)や外国債なども個人投資家の守備範囲に当然入るべき存在だ。これらを知らずに「井の中の蛙」でいることはもったいない。自らバリアを築くのではなく、幅広く情報を集めていっていただきたい。

   「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」と言う言葉があるが、投資においても「己を知る人」、すなわち感情に流されず、自分を客観的に見つめられる人が勝つということではないか。(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ、60歳。
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