2018年 12月 13日 (木)

それって「違法」かも? そもそも「営業職」は裁量労働制ではありません!

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   美しい桜が、まさに見頃を迎えました。満開の桜と共に、フレッシュな新入社員たちが入社した会社も多いことでしょう。新人さんに仕事を教える中で、ご自身の働き方についても改めて考えたという方もいらっしゃるかもしれませんね。

   政府が進めている「働き方改革」についての国会答弁で、一躍有名となった「裁量労働制」という働き方。今回は、その実態についてご質問をいただきましたので、「裁量労働制」について解説していきます。

   今回は、システム開発会社で営業社員として働く30代の男性からのご相談です。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)

  • 裁量労働制、導入するにもハードルがある
    裁量労働制、導入するにもハードルがある

事例=30代、システム開発会社の営業社員の場合

   最近、社内で「もうすぐ裁量労働制が導入されるらしい」というウワサが広がっています。報道などで知るかぎりでは、裁量労働制って、そんなにいいものだとは正直思えなくて不安です。

   そもそも、会社が「導入する」と言ってしまえば、同意がなくても裁量労働制になったりしてしまうんでしょうか。社内では「残業代がつかなくなって給料が減る」「結局早く退社するなんて無理」と反対派のほうが多いです。

   裁量労働制って、働く側にとって何かメリットがあるのでしょうか。どういうことなのか、教えてほしいです。

裁量労働制とは何か

   裁量労働制とは、業務の性質上、業務の進め方や時間配分などを、労働者の大幅な裁量に委ねる必要がある業務について、一定の条件を満たす場合に導入することができ、実際に働いた時間に関わらず、あらかじめ決めていた労働時間を働いたものとみなす制度です。

   たとえば、労働時間は1日8時間とあらかじめ決めていた場合、実際に4時間働いても、10時間働いても、8時間働いたものとみなされます。このため、実際の労働時間が短くても給与が減ることはありませんが、実際には長く働いていてもいわゆる残業代は基本的に発生しないのです。

   もっとも休日出勤、深夜労働については依然として法規制が及ぶので、たとえば深夜労働に対しては深夜手当の支払い義務があります。

会社は勝手に導入できない!

   裁量労働制は、残業代を基本的に支給しなくて済み、労働者とって不利益に濫用されるおそれがあることから、導入するには法律上の条件があります。

   まず、裁量労働制は「専門業務型」と「企画業務型」のふたつに分かれています。

   専門業務型は、省令等で定める19種類の業務でしか導入できません。たとえば、私たち弁護士などの士業の一部、大学教授、デザイナー、ゲームクリエイター、システムエンジニアなどが挙げられます。企画業務型は、事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析に従事している労働者を対象とするものです。

   専門業務型も企画業務型も、会社側だけで勝手に導入することはできず、労使協定を締結したり、労使委員会での決議などを通したりと、労働者の意見を反映させる必要があります。

   ご相談者は、営業社員ということですので、裁量労働制の対象にはならないものと考えられます。ただ、システム開発会社であれば、システムエンジニアとして働かれている方たちは、裁量労働の対象となる可能性がありますね。

   裁量労働制は、適切に運用されれば、自分の頑張りで労働時間を短縮できたり、自由な働き方ができたりというメリットがあります。自分のライフスタイルにあわせて、育児や介護、プライベートを充実させることもできます。

   私自身も弁護士として裁量労働制で働いていますが、たとえば午前中に病院や役所に行って、午後から始業するなどプライベートに合わせた働き方ができています。また、夜遅い時間にしかお電話できないご依頼者様がいれば、始業時間を遅めにしてお時間を合わせるなど、ご依頼者様にとってもメリットになるように働くこともできています。

   裁量労働制とは本来、残業代を払わなくていいとするための制度ではなく、労働者の自由な働き方を支援するための制度のはずです。導入には労使協定などが必要ですので、会社と労働者がしっかりと話し合い、賢く運用していくことが重要だと思います。

   ポイント2点

●裁量労働制とは、一定の条件を満たす場合に導入することができ、実際に働いた時間に関わらず、あらかじめ決めていた労働時間を働いたものとみなす制度
●導入は会社側だけで勝手に行うことはできず、労使協定を締結しなければならない

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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