2018年 9月 23日 (日)

その48 医療費領収書の「5年間」保存 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   平成29年(2017年)分の所得税の確定申告を済ませてから、もうかなり経つ。例年なら、面倒くさかった確定申告のことなどはすっかり忘れている頃である。だけど、今年(2018年)はどうもスッキリしない。

   それは診療費、薬代など医療費控除を受ける場合に使う「領収書」を「5年間」保存するようにと、税務署から求められているからだ。

  • 医療費の領収書の「5年間保存」を命じる「確定申告の手引き」。「5」がわざわざ赤い字で書いてある
    医療費の領収書の「5年間保存」を命じる「確定申告の手引き」。「5」がわざわざ赤い字で書いてある

これは脅しか? 5年間ビクビクして過ごすことに

   昨年(2017年)までは、医療費控除を受けるためには「医療費の明細書」と「医療費の領収書」の双方が必要だった。領収書については、税務署に出したままになる「提出」と、税務署が見たあと戻される「提示」とがあったが、提示は返信用封筒をつけたり手間がかかるので、たいていの人は提出していたようだ。僕もそうだった。

   ところが、今年からは、税務署に出すのは「医療費控除の明細書」だけで、「医療費の領収書」は不要になった。いくらかは楽である。その代わり、税務署が作った「確定申告の手引き」には「医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります」と書かれている。

   税務署に言わせれば、今年からは納税者を信頼して、医療費の領収書をいちいち点検はしません。だけど、明細書に不審な点があれば、あらためて領収書を見せてもらいます。5年間はそれを覚悟していてください―― ということだろう。

   これは納税者に対する一種の脅しではないだろうか。不正を働くつもりのない納税者でも、申告に何か間違った点があったかもしれない。ちょっと大げさに言えば、いつ税務署に呼び出されるかと、5年間ビクビクして過ごさねばならない。

   その5年間とは、正確にはいつまでなのか。税理士に聞くと、今年は3月15日が法律で決められた申告期限だったので、それから5年後の2023年3月15日まで領収書を保存しておく必要があるとのことだ。

来年、再来年...... 溜まる領収書に気が重くなる

   僕の場合、家族の分も含めると、1年分の領収書は結構な量になる。来年、再来年...... と、その量は増えていく。広くもない家の中で、場所はとるし、気の重いことである。

   ところで、税務署はこれまで、納税者から提出された領収書を何年間、保存していたのだろうか? ある税理士がネットに書いていたところだと、2年間程度だそうだ。それなのに、納税者には5年間を押し付けている。

   医療費控除に関する税務署の仕事は、今年からかなり楽になったはずだ。まず、明細書と領収書をいちいち照らし合わせる必要がなくなった。その領収書を保存しておく必要もなくなった。

   一方の納税者には、面倒な義務が生まれた。僕は納税者による領収書の保存そのものには反対しない。けれども、その期間は常識的に言えば1年間、どんなに長くても2年間が限度ではないだろうか。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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