2018年 10月 16日 (火)

その49 公文書類の「元号」偏重 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   天皇陛下の退位の日まで1年を切った。来年(2019年)4月30日で「平成」の時代が終わり、5月1日からは新しい元号の日々が始まる。

   思い起こせば、昭和天皇の崩御は昭和64(1989)年1月7日で、翌日は平成元年1月8日になった。

  • 昭和天皇の崩御と新元号「平成」を報じる1989年(昭和64年)1月7日付の朝日新聞夕刊。
    昭和天皇の崩御と新元号「平成」を報じる1989年(昭和64年)1月7日付の朝日新聞夕刊。

公文書の類には西暦表記がない

 

   ところで、僕の運転免許証は「平成32年〇月〇日」まで有効である。でも、「平成32年」は絶対にやってこない。どうしたらいいのだろう?

 

   一瞬、そう思ってしまった。せめて免許証に「平成32年(2020年)」とでもあればいいのだが、「2020年」はどこにも出てこない。

 

   おかげで、やや大げさだけど、頭の中で元号を西暦に変える操作をしないと、免許証の有効期限が判然としない。元号が変われば、その元号を書いた免許証を新しく発行してくれるわけではない。

   それなのに、どういうわけか、役所の文書、つまり公文書の類は、外国人向けの在留カードなんかを除くと、西暦の表示がない。元号だけを使っている。

 

   僕はなにも「面倒な元号を廃止して、西暦に一本化しろ」とまでは言わない。元号は「明治人」「大正デモクラシー」「昭和元禄」など、ある時代の特徴を表すには、使って便利な言葉でもある。

   また、西暦はキリストの誕生を基準にした年号の数え方である。キリスト教徒でもない僕が、これだけを使わせられるのは、どこかしっくりとしない。

新聞は「元号」と「西暦」を併記している

 

   それにしても、役所の文書類が元号だけというのは、いかがなものであろうか――。最近、日本で働く外国人がどんどん増えてきている。この人たちにとっても、元号一本やりは何かと不便なはずである。

 

   役所に出す書類に生年月日を書く時、「西暦ではなくて元号で書かせられました。生まれた年を西暦以外で考えたことがないので、あわてました」。中国人からそう聞かされたことがある。

 

   いや、運転免許証の有効期限だけでなく、元号は日本人の僕にも便利ばかりとは言いがたい。会社を定年退職後、僕は中国にかなり長くいて、「平成」という元号とは縁が薄かった。そのせいか、たとえば「平成15年」と言われても、何もイメージが浮かんでこない。

 

   そんな時、どうするか。やはりまず、平成15年を西暦に換える。2003年である。すると、ああ、あの時はハルビンの大学で日本語を教えだして2年目だったなあ、といったことが初めて頭に浮かんでくる。

 

   いま、新聞各紙の発行日の日付は元号と西暦を併用している。朝日、毎日、読売、日本経済、東京は「2018年(平成30年)〇月〇日」、産経は「平成30年(2018年)〇月〇日」と書いている。

 

   役所は元号尊重もいいけれど、住民に対して、せめてこれくらいのサービスはするべきである。そうでないと、元号そのものが愛想をつかされてしまうのではないだろうか。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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