2018年 7月 19日 (木)

社員一丸は難しい! 「世代間ギャップ」を埋めるために社長がすること(大関暁夫)

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   ゴールデンウイークも終わり、どこの企業でも新年度がいよいよ本番となる時期に移っていきます。

   となれば当然、ゴールデンウイークまでは、やや「お客さん」的な扱いで迎えられていた4月に入社した新人たちも、いよいよビジネスマンとしての本格稼働を期待される時期になっていくわけです。

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    「昭和育ち」には、ゆとり世代は理解できない?

バブル上司VSゆとり新人、狭間にいる「氷河期」管理職

   例年その年の新社会人のタイプを名づけて公表している産労総合研究所によれば、今年(2018年)の新人は「SNSを駆使するチームパシュート」型なのだとか。

   2月の冬季オリンピックで見事、金メダルに輝いた日本女子チームパシュート。同研究所によれば、今年の新人たちの就職活動において、少数の仲間同士でSNSを活用し綿密な情報交換で協力関係を構築する様は、まさしくそのチームパシュートを思わせるものであったのだと。しかしながら、そのコメントの最後には、「就活は短期決戦だったが、入社すればおよそ40年もの長期戦である。自分なりのテーマをもって仕事をする努力を怠れば周回遅れも」という厳しい一言も付加されておりました。

   そうです! 今年の新人たちは、ゆとり教育と呼ばれる教育方針の下で育ったいわゆる「ゆとり世代」の子供たちです。「ゆとり世代」はまた、高望みや浪費をしない「さとり世代」でもあるとも言われています。

   一方で、今の企業をリーダー役として動かしているのは、1990年前後に入社した「バブル世代」の連中です。就職戦線において「売り手市場」であるという点こそ、今年の新人たちとの共通項ではありますが、思い起こせば蝶よ花よと持ち上げられて「入ってやった」的に自信過剰や自己主張が強く、ゆとり世代たちとは相容れない風土を持ち合わせています。

   「バブル世代」を象徴する1991年の新人のタイプは、価格が高くて仕立てに時間がかかる、という意味で「お仕立て券付きワイシャツ型」。バブル世代が入社してきた時には、われわれ昭和世代の常識を超えた言動をするまさに「新人類」として衝撃を受けたものでした。

   そして礼儀知らずに映った、その自信過剰な態度を改めさせようとした昭和世代との間に、さまざまな軋轢を生んだとも記憶しているところであります。そんな衝撃的な出会いの結果、大量採用のバブル期には大量組織からの「離脱」も同時に生みだしたのでした。

「複合組織」の融合に悩む

   ついでに申し上げると、バブルとゆとりの間に位置する現在の管理職たちは、バブル期とは正反対な、就職氷河期世代です。彼らの代表的世代である99年の新人は、「形状安定シャツ型」。厳しい指導にも耐え丸洗いもOKという、自信も失われ仕方なく組織におとなしく従う世代であると言っていいでしょう。

   そんな世代から見れば、売り手市場で就職活動にさほど苦労を経験していない今の世代は「超甘ちゃん」という声もあって、職場で相容れないことも多いのだと聞きます。

   自身は就職氷河期の入社である某上場企業の人事課長Y氏は、「昭和→バブル→氷河期→ゆとり世代」という相容れない複数世代の混合組織の人事交流の難しさについて、こんなことを言っていました。

「ゆとり教育で育ち、就職活動でもさほど苦労していない世代は、我慢がきかない子が多いです。そのうえ昔と違って転職が当たり前の時代ですから、就職先が一生の職場なんて考えている者のほうが少ない。だから、せっかく採用しても下手すると『自分に合わない会社だった』とか『思っていたのと違っていた』などと言って、躊躇なく辞めてしまいます。その意味では、新人を会社の文化に染めることばかりを考えるのではなく、うまく会社の考え方と彼らの考え方をバランスさせていく、そんな努力も会社サイドに求められる時代になったように思います」

ヒントはダイバーシティにあり!?

   われわれが入社した昭和の時代には、会社のしきたりや社風に従うのは「社会人としての第一歩」とさえ言われ、有無を言わさぬ組織への服従が当たり前だったことを考えると、会社が風土に合わない社員に気を遣うなんで隔世の感ありです。

   そうは言っても、大企業は創業来の歴史が50年を超える企業も多く、さまざまな階層に異文化で育った社員がそれなりの数で存在するわけですから、世代間格差が生じるたびに物事の考え方やプライベートに関わる文化や常識を、うまくまとめていこうというのは至難の業でもありそうです。

   ところが、この手の話とは無縁と思っていた社員40人ほどの機械製造業中小企業G社長が、そんな大企業の苦労を聞いておもしろい反応を示しました。

「うちだって昭和育ちのロートル幹部もいるし、バブル世代の管理者もいる。昨年はまさにゆとり世代の新入社員も入りました。各世代がぶつからないように気を遣う? そんなことはまったくしません。逆にぶっかったほうがいいのですよ。世代間文化の違いに気を遣わなくちゃいけなくなるというのは、暗にどこかの世代が正しいと決めてしまっているからじゃないですか。恐らく大企業さんは、経営層が自分たちの世代考え方ややり方が正しいと心の底で思いながら、皆がへそを曲げないように表面で気を遣っているだけでしょ。それじゃ各世代は皆本当の力を発揮できないでしょうね」

   これは、ちょっとした「目からウロコ」の発言でした。

   よくよくG社長の言っていることを吟味してみると、何気にダイバーシティの基本姿勢そのものだったりするのです。ダイバーシティと言うと、女性の活用ばかりが注目されがちですが、本来は個々の個性を尊重してそれぞれの強みを発揮することで組織の発展に役立ててもらおうという考え方です。各世代個々の個性を尊重し、他世代に遠慮なく活躍させるG社長のやり方は、まさにダイバーシティの精神そのものに思えるわけです。

   近年、大企業が悩む世代間ギャップの解消問題は、じつはその組織におけるダイバーシティ精神の実現にかかっているのかもしれません。

(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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