2018年 8月 19日 (日)

フリーランスと企業を橋渡し 「振り向くホームページ」って何だ?

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   2017年に、国内のフリーランス人口が1122万人(ランサーズ「フリーランス実態調査2017年版」)まで増加したと聞けば、さぞフリーランスが多くの分野で活躍しているに違いないと思うだろう。

   しかし、「残念ながら、企業側がフリーランスを上手に利用する環境には、程遠い現状です。それどころか、大手企業は、コンプライアンスや情報管理などの観点から、フリーランスの活用にますます慎重になっていると感じます」。そう語るのは、プロイノベーションの社長で、2018年4月から、企業とフリーランスを結び付ける新サービス「振り向くホームページ」を始めた久原健司(くはら・けんじ)さんだ。

   今回、久原社長にフリーランスの活用に特化したビジネスを始めたきっかけや、新サービスについて話を聞いた。

  • 「フリーランスと企業の橋渡し」プロイノベーションの久原健司社長
    「フリーランスと企業の橋渡し」プロイノベーションの久原健司社長

企業がフリーランスを「使いこなせない」現状

   ―― 企業とフリーランスを結びつけるビジネスをはじめたとのことですが、フリーランスに着目した経緯はなんでしょう。

久原健司社長「まず、私の経歴について少しお話しさせてください。私は、以前から『会社に就くのではなく、職に就きたい、職人になりたい』と思っていました。そこで大学卒業後はシステムエンジニア(SE)を希望して、ある人材派遣会社に入社。その後、プログラミングを覚えたいと思い、小さなソフトウェア会社に転職。幸運にもSEとして独立することができました。

   その後、会社を設立して社員を雇うようになったのですが、震災の影響で得意先からの仕事が減るなかで、社員が得意な分野の仕事もとれず、このまま続けていてもいずれ会社が衰退し、最終的には解散になってしまうだろうと判断しました。そこで、社員に頭を下げ、3か月給与は支払い続けるので、その間に転職先ややりたいことを見つけてもらい、一たん会社をリセットしたのです。

   一人に戻り、多種多様なフリーランスの方と出会うことで、現状がよくわかったんです。手に職をつけて、『さぁ仕事をしよう』と思っても、よほど個人として有名でない限り、会社の看板なしでは仕事はとれないのだと。そのことはなんとなく、わかっていたのですが、そこは強烈な逆風でした。とはいえ、フリーランスに営業力がないというわけではなく、そもそも企業側がフリーランスを使わないという問題があることに気がついたんです。

   私も経営者なので、企業側の気持ちもわかります。フリーランスは『一人親方』のように、一定の仕事を個人として受ける場合が多いので、体調不良などでやむを得ない事情だとしても、納期が間に合わなくなったとか、品質に問題があれば、企業側にとっては非常なリスクなのです。

   でも、彼らの専門性をうまく使えれば、企業にとっては雇用するわけではなく、必要な時に必要な分だけ参加してもらい、それは大きな戦力になるはずなのです。そこで、大きな仕事を小さく切り分けることが得意で、フリーランスと長年一緒に働いてきた経験を持つ私が、彼らの活用方法を企業側に提案できたらと考え、新しいサービスを立ち上げることにしたのです」

イラスト、アイコン、動画...... 得意な仕事をやってもらう

   ―― 新サービスの「振り向くホームページ」とは、どのようなサービスなのでしょうか。

久原社長「今、米国のEC企業では、ホームページで動画を活用することが、ブランディング面でも、売り上げ面でも効果的だと認識されています。そこで、ホームページ内に動画のプロフェッショナルが制作をしたオリジナル動画を組み込むことによって、企業の商品やサービスを、より多くのお客様に振り向いてもらうためのお手伝いをするというサービスです。

「フリーランスには得意な仕事をやってもらう」
「フリーランスには得意な仕事をやってもらう」

   ホームページのトップ画面ひとつ取っても、イラストやアイコン、動画などのさまざまな機能から成り立っています。企業の要望を聞き、それを持ち帰って、仕事を細分化し、各分野のエキスパートに依頼して一つのモノをつくりあげるのです。私が一緒に仕事をしている仲間の中には、映像制作のプロがおり、ひと声かければ多くのエキスパート人材が集まってくるようになっています。

   また、ホームページ機能の提案やヒアリングを通じて、企業側からも『じつは本当はこういうことがしたい』といったホームページ以外の要望をいただけるようになります。そういった案件についても、同様に仕事を細分化し、それが得意なエキスパートに振り分けることができます。私としては、企業側の皆さんに、フリーランスを活用するハードルを下げてもらいたいので、まずは現在、ほぼすべての会社が持っているホームページを通じて、仕事を提案するという方法でアプローチしています」

仕事は一人のフリーランスに任せないのが「ミソ」

   ―― 具体的に、どのようにフリーランス人材を活用されているのでしょう。

久原社長「基本的には、一つの仕事を、2、3人のフリーランスのグループで担当してもらいます。その作業が一人でできることでも、一人には任せません。当然一人当たりの売り上げが減りますが、その分、二つ、三つの仕事をしてもらいます。フリーランスが『個人』であることが問題であるならば、個人としてではなく、グループとして扱えばいいわけです。

   新しい仕事が入ったとき、その仕事を最も得意とする人に担当してもらいます。フリーランスはある一つの分野が飛びぬけて得意な人たちですので、不得意な仕事を任せるのはもったいないですから」

久原社長は「企業とフリーランスの『WIN WIN』の関係を築きたい」と語る
久原社長は「企業とフリーランスの『WIN WIN』の関係を築きたい」と語る

   ―― フリーランスの報酬は、どのように分配するのですか。

久原社長「私は一緒に仕事をするフリーランスの方には、受注価格を完全にオープンにしています。契約書も全部見せて、『コミッションとして、いくらもらいますね』というようなことも伝えます。

   一方、企業側にも細かい見積もりと、一般企業と当社の違いなども含め、良質でクオリティの高い仕事であることを、きちんと説明します。一般企業に発注するものと同じ品質のものが納品されるとわかれば、提示した価格について企業にもほぼご納得いただけます」

   ―― ビジネスのこれからの抱負について、お聞かせください。

久原社長「現在、さまざまな企業に『振り向くホームページ』をご提案している段階ですが、企業側もやりたいことは沢山あるのに、人材不足でそれができていないという悩みを抱えていますし、それでは成長の機会損失につながります。発注サイドのことも、受注サイドのこともわかっている、私のような担当者がフリーランスと企業の橋渡しになれば、経営者を応援すると同時に、フリーランスの活躍の場を創ることができ、『WIN WIN』の関係が築けます。今はこの仕組みを立ち上げたばかりですが、これをもっと広げていき、将来的には私がいなくても誰でも運営できるように、協会という形式に移行することを考えています」

(インタビュー 戸川明美)


プロフィール

久原 健司
(くはら・けんじ)
(株)プロイノベーション 代表取締役 / JAPRO認定講師
2001年東海大学工学部通信工学科卒業後、ITの人材派遣会社に入社。2003年にソフトウェア開発の会社でシステムエンジニアとして大手通信会社のWebアプリケーションシステム開発など多くの開発業務に携わった。2007年にプロイノベーションを設立。現在は、代表取締役を務める傍、JAPROの認定講師の資格を取得し、さまざまなIT企業を中心に研修なども行っている。1978年生まれ。

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