違法建築疑惑のレオパレス21、ネットに怒りの声 発覚翌日、「IT経営で表彰」と自画自賛って......

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   賃貸アパート大手のレオパレス21が2018年5月29日、施工したアパートに建築基準法違反の疑いがある不備が見つかり、約3万8000棟を調査すると発表した事件が波紋を広げている。

   インターネットでは「日大より、こっちのほうが問題大きいだろw」「レオパレス伝説は仕様じゃなくて手抜きだったんだ」などと批判が沸騰している。また、入居者ばかりでなく、関連の下請企業が約4000社以上に達し、総計18万6000人の従業員の生活にも悪影響を与えそうだ。

  • 問題のアパートの構造図。屋根の部分の「界壁」ないため新設するという(レオパレス21の公式サイトより)
    問題のアパートの構造図。屋根の部分の「界壁」ないため新設するという(レオパレス21の公式サイトより)
  • 問題のアパートの構造図。屋根の部分の「界壁」ないため新設するという(レオパレス21の公式サイトより)

突然の会見は「ガイアの夜明け」にスクープされたから?

   レオパレス21は5月29日、東京都内で記者会見を開き、田尻和人専務らが「計206棟のアパートで施工不良を確認した。当社に施行管理責任がある」と謝罪した。

   施工不良が見つかったのは、1996~2009年に施工したアパートの6シリーズで、「界壁」(かいへき)と呼ばれる防火部材(構造図参照)が天井裏に設置されていなかったり、十分な範囲に設けられていなかったりしていたという。

   建築基準法では、火災時の延焼を防ぐために、界壁を天井裏に設置するよう定めている。同社は、2019年6月までに対象のアパート全3万7853棟を調査。不備があるアパートは改修する。

   また、これとは別に1994~95年に施行した2シリーズでも、調査した184棟のうち168棟に界壁がなかったという。

   では、以前からこれだけ広範な範囲に施工不良のアパートが見つかっていたのに、レオパレス21が29日になって突然会見を開いたのはなぜか――。じつは、同社の公式サイトをみると、今年4月27日付で「当社一部物件における確認通知図書との相違部分に関する補修工事の実施について」というお知らせが掲載され、ほぼ記者会見と同じ内容が書かれている。

   そして、「今年3月と4月に2名のオーナー様からご指摘を受け...... 界壁設置工事を行なうことにして...... 公表する次第です」と経緯を説明している。

   しかし、これでは一般の人にはほとんど伝わらない。クルマのリコールでも記者会見を開き、報道機関に知らせるのが常識だ。ネット上では、レオパレス21が緊急会見を開いた背景には、テレビ東京の報道番組「ガイアの夜明け」がこの問題を取り上げたからだ、と指摘する声が多い。

   「ガイアの夜明け」は、ちょうど会見と同じ29日夜10時放送で、「スクープ!レオパレス21『違法建築』疑惑」と題して、レオパレス21の内部文書を入手し、全国各地で「界壁」のないアパートを20年間も放置していた実態を報道した。

「チャイムを鳴らしたら住人全員が出てきた」

   この騒ぎに、インターネットの掲示板ではこんな批判の声が相次いだ。

「何年も前からレオパレスは異様に隣室の音が聞こえると言われていたのに、誰も調べようとしなかったのか」
「レオパレス伝説ってこれ。
・エアコンが勝手に切れる。
・チャイム鳴らされたと思って玄関を開けたら、四軒隣の部屋だった。
・チャイムを鳴らしたら住人全員が出てきた。
・ティッシュを取る音が聞こえてくるのは当たり前、携帯のポチポチが聞こえることも。
・納豆をかき混ぜる音も。
・壁ドンしたら壁に穴が開いた」

   さらには最近、不審な改修が行なわれているという声も。

「うちの隣のレオパレス。古くないのに建て直している。リフォームとかじゃなくて、完全なる建て直しで不思議だったんだけど、これかなあ」
「うちの近所もシートみたいなの全体にかぶせてなんかやってたわ」

ところで、今回の施工不良の発覚により、入居者やアパートのオーナーはもちろん、レオパレス21の下請企業まで影響を受けるのは避けられない。

   帝国データバンクは急きょ5月30日、レオパレス21の下請企業の実態調査を発表。レオパレス21グループと直接、間接的に取引がある下請企業(一次下請、二次下請)を抽出して集計した。その結果、一次下請が528社、二次下請が3645社で、合計4173社に達することがわかった。

   これらの企業の従業員総数は18万6354人にものぼる。全体の約7割が年商10億円未満の中小企業だから、経営への打撃が心配される。

業界初の「顔認証」「AI賃料査定」を誇る前に......

   奇しくも、田尻専務らが謝罪会見を開いた翌日の5月30日、レオパレス21の公式サイトには、「レオパレス21『攻めのIT経営銘柄2018』に2年連続選定」というプレスリリースが誇らしげに掲載された。

   「攻めのIT経営銘柄2018」は、経済産業省と東京証券取引所が毎年選出するもので、今年は日立製作所、富士フィルムなど32社が発表された。

   公式サイトには「レオパレスが入居者様のニーズを的確にとらえ...... サービスの開発強化に努め...... 『業界初の顔認証システム』および『業界初のAI賃料査定システム』などのデジタル技術の活用」を評価されたためと書かれ、「IT化による入居者様のさらなる利便性の向上を目指します」と結んでいる。

   レオパレス21は本当の入居者サービスがわかっているのか。顔認証システムやAI賃料査定にかける資金があるなら、なぜ安心して住める住宅づくりという「基本」におカネをかけないのだろうか。

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